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「俺の蹴りを受けて倒れなかった人間は初めてだ。それ以前に君は攻撃出来なかったんじゃなくてする気がなかった。……どうしてだ?」
「俺は人を殴らん!だが俺をいくら殴っても蹴っても構わん。…その代わり!石像を壊すのは止めろ、司。人を殺すのは悪いことだー!」
司の質問に対して、大樹が返したのは清々しいまでの自論。
「……大樹。君の主張を整理すると、自分は手を出さず殴られ続ける。よって、石像は壊すな。……そういうことかい?」
「そういうことだー!!」
司は少しの間考えて。
「意味が分からない。何の取引にもなってない」
困惑した声を発した。
「もし君が邪魔立てするなら─」
「いくら攻撃されても、俺はお前を止めることをやめんぞ!」
「復活したばかりのその子─杠を殺すと言ったら?」
司の鋭い視線が杠を射抜き、杠は恐怖から後退る。
大樹が慌てて杠の前に両手を広げて立ちはだかった。
緊張感が漂う中、スタスタと前に進み出たのはA。
ふふっと楽しげな笑い声を上げる彼女は、この場においてかなり異質だ。
「石像だけではなく、息をしている人間まで葬るおつもり?法律が意味をなさなくなっても、殺人が人類のタブーであることには変わりはないのよ」
「勿論良いことだとは思っていないよ。だが、俺の道を妨げるならそういう手段をとることも厭わない。……しかし、杠はともかく、大樹や千空までもが警戒する中、君だけはこの状況でも微笑みを絶やさない。俺から見たら異常なのは君の方だ」
「お前に言われたくないわ」
冷ややかな笑顔でバッサリと切り捨てるA。
その背後でバタリと大樹が倒れた。
「…うん、仲間割れはよそう。君に何を言われても、俺は自分のやるべきことをやる。邪魔はさせない」
司がくるりと背を向けて立ち去り、一旦危機は去った。
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御影ゆき(プロフ) - わたぁめ ?さん» コミュ障なので万年語彙力は瀕死ですが、そう言っていただけて嬉しいです。これからも頑張りますね! (2021年3月30日 7時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
わたぁめ ?(プロフ) - 凄い … 語彙力が凄い … 応援してます ! 頑張って下さい ! (2021年3月29日 16時) (レス) id: 3d31fada56 (このIDを非表示/違反報告)
真白(プロフ) - ありがとうございます!SSも読ませてもらいますね! (2020年6月27日 12時) (レス) id: 3ab5c4a85e (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» TwitterにもSS挙げてるので良かったらご覧下さいませ。アドバイスは出来ないかもしれませんが、真白さんの小説も読ませていただきます♪ (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» コメントありがとうございます。電子で漫画読みながら、ちょこちょこ書いてるだけで決して上手くはないですよー。オンラインを知らないのもあってアドバイスはあまり出来ないかと…。 (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御影ゆき | 作成日時:2020年5月23日 20時