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「Aちゃん」
放課後、教室のドアから顔を覗かせて私を呼ぶ宮舘君に、少しビックリして慌てて駆け寄る。
「下駄箱で、良かったのに」
「ふふ、ごめん。ちょっとした反抗」
チラっと教室内のどこかを見ると、行こ、と言って歩き出すから、どうやら首を傾げた事は無視されたみたいだ。
「宮舘君」
校舎を出て声をかければ、振り返った彼がまた最近よく見る顔で笑ってて、やっぱり言いたくないって、胸が苦しくなる。
「遅かったかー！」
突然の大きな声にビクッとして目を丸くすれば、クスクスと笑ってまた歩き出すからついて行くしかなくて。
宮舘君がこんな声出すだなんて思わないから驚いたけど、すぐに追いつかせてくれる彼はやっぱり彼で、この空気もしんみりしないようにという彼なりの気遣いなんだろうなと思う。
「もっと早く、言えば良かった」
「…宮舘君、私、嬉しかったよ」
「うん」
「…でも、わたし、…」
言葉に詰まっても彼が振り返る事は無い。
だけど、緩まる歩調は彼の人柄を表している。
「…深澤の事が、好きなんだ」
「…うん」
言葉にしてしまえば、あぁ、私は深澤の事が好きなんだって、胸の奥が熱くなる。
「でもね、宮舘君の事、好きだった気持ちは嘘じゃないよ」
立ち止まった私に気付いたのか、一呼吸置くと彼は振り返った。
「知ってる」
ふわっと笑うその顔は、私の好きだった笑顔で。
泣きたくなるのは私ではいけないはずなのに、泣きそうになる。
「向き合ってくれて、ありがとう」
「こちらこそ」
二人してお辞儀して、目が合うと一瞬の沈黙のあと宮舘君が可笑しそうに笑うから、私もつられて笑ってしまった。
苦しかった心もいくらか軽くなった気がして、今はなんだか少しだけスッキリした気分。
「これからもよろしくね？」
なんだか半年前のあの時みたいで、嬉しくてだけどちょっと切なくて、「こちらこそ」と頷いた顔がどんな表情をしていたか自分では分からないけど、それでも。
宮舘君の事、好きになって良かったって、心からそう思った事も、嘘じゃない。
これが私の、本心なんだ。
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バンビ(プロフ) - 葉月さん» 葉月様、コメントありがとうございます。これからも楽しんで頂けるように頑張ります。これからもよろしくお願いします。 (2022年4月22日 16時) (
レス) id: 0059ecb2b1 (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - 本当に話一つ一つ大好きです。これからも応援しています！無理になさらないように自分のペースで頑張ってください♡ (2022年4月22日 15時) (レス) @page49 id: e15b346611 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バンビ
| 作成日時：2021年12月4日 22時
