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一時間目が数学である事に今日ばかりは落としていた気持ちも、席替えをすると聞いて少し救われる。
良いのか悪いのかなんてもう、私には分からない。
「ふっかだけ離れちゃったね」
見事に離れた深澤の席。
私と宮舘君は前後で隣は渡辺君。
場所が変わっただけであまり変わらない席順も、深澤がいないだけで少し違和感がある。
「…だね」
「Aちゃんとまた近くなれて嬉しい。よろしくね」
…私は、宮舘君が好きだ。
ふわっと笑う顔にちゃんと、心臓が動く。
「俺の事忘れんなよ」と渡辺君が会話に入ってくる感じも、何も変わらない。
ただ、深澤がいないだけだ。
「そういえば夏休みの課題、多すぎだよね」
「え、涼太全部やったの?」
「え?翔太やってないの?」
「ムリだろあんなん」
…なんでこんなに、私は考えてしまうのに。
深澤は別に気にしてないみたいに近くの子と楽しそうに喋ってる。
「Aちゃんは?出来た?」
…深澤にとって、私はたくさんいる女の子のうちのただの一人なんだって。
特別だとかそんなんじゃないけど、ただ、私は深澤にそう思われてるんだって思ったら、なんか。
…嫌だ。
…私は、深澤にとって距離の近い存在であると思ってた。
そうで、ありたかった。
「…Aちゃん?」
訝しげに私を見る宮舘君が視界に入って、思考を消す。
…あぁ、私、何考えてんの。
今は宮舘君と話せるチャンスなのに。
「えっと…なんだっけ?」
「夏休みの課題、全部出来た?」
「あぁ、課題ね、うん、一応」
だけど、宮舘君と話したって嫌な事を思い出してしまうんだから、どうしたって。
私は宮舘君とも、普通に話せる自信がない。
何かを見透かすようにじっと見つめる宮舘君に、気付かないフリをする事しか、出来ない。
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バンビ(プロフ) - 葉月さん» 葉月様、コメントありがとうございます。これからも楽しんで頂けるように頑張ります。これからもよろしくお願いします。 (2022年4月22日 16時) (レス) id: 0059ecb2b1 (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - 本当に話一つ一つ大好きです。これからも応援しています!無理になさらないように自分のペースで頑張ってください♡ (2022年4月22日 15時) (レス) @page49 id: e15b346611 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:バンビ | 作成日時:2021年12月4日 22時