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「…わっ、」
宙に浮いたままの手を急に掴まれたと思ったらそのまま立たされ、引っ張って投げられた先がベッドだと気付いたのは、背中の感触が先か、視界からの情報が先か。
気付けば余裕のない目をした深澤の顔と、天井が目の前にはあった。
「慰めてよ」
勝手に動いていた腕は、深澤の頭に伸びる。
さっきされたみたいに意外と硬いその髪をサラリと梳けば、近付いた顔が重なった。
唇が、触れる。
一瞬の出来事にも無意識に目を閉じていた私は、受け入れるつもりがあるという事に驚いた。
「…それは、私もだよ」
「…なにが」
「慰めて」
傷付いた心を舐め合うように擦り寄って、男女でこんな事本当にあるんだって、少しだけ残っている理性で考えて。
私は、そんな事とは無縁だったはずなのに。
…初めて、なのに。
どうして受け入れてしまえるんだろう。
深澤のキスが、優しくて、苦くて、こんなに泣いてしまいそうなのに、どうしてやめて欲しくないって思うの。
「…今なら、やめるけど」
その問いは、きっと私の顔を見た深澤の最後の理性だ。
私に、委ねないでよ。
そんな顔するなら、深澤のしたいようにして欲しい。
「…ふかざわ、」
揺れた瞳を見つめれば降ってくるキスに、お互いにもう理性など残っていない。
現実味のない現実に、暑さも恥じらいももうどうでも良くなってしまって。
ただシャツの隙間から滑り込んでくる手の感触だけが、ひどく生々しくて身を捩る。
自分の口から、深澤に向けて、こんなに甘ったるい声が出るなんて事は知りたくなかった。
ギュッと瞑った目から落ちてしまうのは、不可抗力だ。
重力に逆らえなかっただけ、…でも、どうして？
この涙の意味は、深澤には分かるのだろうか。
分かんないでよ。
…分かってよ。
腫れ物に触れるみたいに、愛おしいものを見つめるみたいに。
そんなに優しくされたら、私。
心まで丸ごと、深澤のものになったような気分になっちゃうよ。
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バンビ(プロフ) - 葉月さん» 葉月様、コメントありがとうございます。これからも楽しんで頂けるように頑張ります。これからもよろしくお願いします。 (2022年4月22日 16時) (
レス) id: 0059ecb2b1 (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - 本当に話一つ一つ大好きです。これからも応援しています！無理になさらないように自分のペースで頑張ってください♡ (2022年4月22日 15時) (レス) @page49 id: e15b346611 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バンビ
| 作成日時：2021年12月4日 22時
