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「…深澤はさ、好きな子のどんな所が好きなの？」
落としていた視線をチラ、と深澤に向ければ、一瞬歪んだ表情を隠すように目を逸らされた。
「傷抉るねー」
いつもみたいにおチャラけた声を出すくせに、見た事のない顔をするから、私は戸惑う。
「なに、フラれたの？」
「とっくにフラれてますー」
「告白、したの」
知らなかった。
いつだって私は自分の事ばっかりで、ちゃんと気にかけてくれていた深澤の事を、私は見ていない。
濁すようにお茶を飲むからこれ以上聞くなと言われた気分になる。
それでも聞いてしまうのは、きっと私は知りたいんだ。
「…してないけど」
「してないのに分かるの？」
黙りこむ深澤に、「深澤でも上手くいかない事あるんだ」と言ってしまってから後悔するのは、遅かったのだろうか。
「…ごめん」
俺の事なんだと思ってんだよ、って呆れた顔で言われるのを期待していた。
だけど、黙ったままの深澤を見て私は反省する。
この心臓のキリ、とした変な感覚が何なのか、私にはまだ分からない。
「Aは？」
重たい前髪から覗く切れ長の目に、ドキリとして一瞬、息が止まった。
「どこが好きなの」
いつかも聞かれた事があったと思い出そうとして出来なかったのは、今はそれどころじゃなかったから。
「見る目ないねー、ほんと。こんな近くに優良物件あんのにさぁ」
サラリと私の髪を梳くその手が綺麗な事を、私は知っている。
「…だね、」
なにが優良物件よ、なんて言葉を深澤も期待したのだろうか。
一瞬瞳が揺れて、力んだ手が離される。
そんな寂しそうな目で見られたら、離れたその手に擦り寄ってしまいたくなるんだよ。
「っ、」
無意識のうちに掴んでいた手は、気付いても離したくはない。
だけど、深澤に想われる子が羨ましい、なんて思ってしまった事は、出来れば気付きたくなかった。
…分からない、ままでいたい。
答えを想像して苦しくなる自分も、深澤が動揺してる意味も。
逃げるように離した手は、行き場を失くす。
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バンビ(プロフ) - 葉月さん» 葉月様、コメントありがとうございます。これからも楽しんで頂けるように頑張ります。これからもよろしくお願いします。 (2022年4月22日 16時) (
レス) id: 0059ecb2b1 (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - 本当に話一つ一つ大好きです。これからも応援しています！無理になさらないように自分のペースで頑張ってください♡ (2022年4月22日 15時) (レス) @page49 id: e15b346611 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バンビ
| 作成日時：2021年12月4日 22時
