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夏休みが終わって待ち受けていたのは、浮かれていた罰だったのかもしれない。
歯止めをかけたままでいれば良かったのに、勝手にいい感じなのかもと浮かれてしまっていた事を後悔した。
「私、涼太が好きなの」
体育館裏に呼び出されて、みたいなありがちな展開だったら、笑ってしまえる余裕もあったのだろう。
だけど、ここは私の教室で。
たまたま、浮かれて早く来すぎてしまって、一人で時間を潰しているなんてシチュエーション、少なくとも私にとっては初めてだ。
そこにたまたまアユミちゃんがやってきて、なんてそんな偶然。
同じクラスの子に乗り換えた、なんてただの噂だったのかと、迂闊に信じてはいけないなと意外と冷静な頭で考える。
「Aちゃん、最近涼太と仲良いよね」
「…そう、かな」
「彼女がいるって知ってて、告白なんかしたの?」
そうか。告白した事くらい、知ってるよな。
「…それは、知らなくて…」
「同じクラスだったんだから、知らないわけなくない?」
本当に知らなかった、そんな言葉は言っても信じて貰えないだろう。
「…ごめんなさい、」
「まぁいいや。Aちゃんのせいで別れたなんて言わないけどさぁ、涼太、優しいから無視出来なかったんだろうね」
嫌味っぽいとか、性格悪いとか、そんなんじゃない。
すごく、ハキハキしてる子だから。
彼女が言ってる事は全部正しいような、そんな気がしてしまうだけ。
あぁ、やっぱり。
私が宮舘君と上手くいく、なんて夢のまた夢で。
気付くには遅すぎたのか。
…ううん、今で良かった。
「優しさに漬け込んで好きになってもらっても、そんなの何も嬉しくないじゃん。まぁAちゃんがそれで良いなら良いんだけど」
じゃ、と言うだけ言って去って行く彼女を、呆然と見つめる事しか出来なくて、新学期早々気が重いな、と背中が見えなくなると同時に机に突っ伏した。
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バンビ(プロフ) - 葉月さん» 葉月様、コメントありがとうございます。これからも楽しんで頂けるように頑張ります。これからもよろしくお願いします。 (2022年4月22日 16時) (レス) id: 0059ecb2b1 (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - 本当に話一つ一つ大好きです。これからも応援しています!無理になさらないように自分のペースで頑張ってください♡ (2022年4月22日 15時) (レス) @page49 id: e15b346611 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:バンビ | 作成日時:2021年12月4日 22時