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「送ってくれてありがと」
いつの間に家の近くまで着いていて、そう言って立ち止まると深澤も立ち止まった。
「…お前にだけだって言ってんだから、受け入れとけば」
その言葉の意味を深く考えるつもりはないけれど。
いつも、深澤は。
その優しさに甘えても良いのかなって、私に思わせる。
「黙って借りとけって言ったでしょ」
腕を急に引っ張られて体が前に倒れる。
それを受け止めるように、深澤の腕が背中に回った。
「ふかざわ、」
「…そんな顔すんなら、辞めちゃえば?」
…らしくない。
そんな顔もそんな声も、深澤の服を掴んでしまう私も。
「…むりだよ」
こもった声は、深澤のカッターシャツに吸収される。
…知らなかった。
色白でひょろひょろで、へらへらしてて、誰かを守るなんて向いてなさそうなくせに。
思ったよりも太い腕と、厚い背中が、深澤にあるなんて事。
それがこんなに、私を安心させるものだなんて事。
「…まぁ、だよな」
そうか、と思った。
気にとめた事なんてなかったけど、きっと。
深澤にも。
「…いるんだ」
「なにが?」
「…深澤にも好きな人」
一瞬、腕に力が入って、それからゆっくりと腕を緩める。
「まあな」
腕を離すと、私の頬を乱暴に片手で挟んだ。
「ちゃんと目冷やせよ」
「…泣いてないし」
深澤が歩き出した先が、××町と反対方向だというのは後で気付いた事だ。
「深澤」と呼び止めた私にくるりと振り返る。
「ありがとね」
「…おー」
その日から少し、深澤に対しての印象が変わった。
深澤も男なのだと知ったのは不本意だけど、ちゃんと頼れる奴なのだ。
いつも頭のどこかにいる深澤の存在が前よりも大きくなった気がして、やめてよ、と思う。
今は深澤の事を考えてる暇なんてないのに。
だけど、どうしたって。
私の頭に住み着いたまま、離れてくれない。
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バンビ(プロフ) - 葉月さん» 葉月様、コメントありがとうございます。これからも楽しんで頂けるように頑張ります。これからもよろしくお願いします。 (2022年4月22日 16時) (レス) id: 0059ecb2b1 (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - 本当に話一つ一つ大好きです。これからも応援しています!無理になさらないように自分のペースで頑張ってください♡ (2022年4月22日 15時) (レス) @page49 id: e15b346611 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:バンビ | 作成日時:2021年12月4日 22時