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「教科書、ありがとう」
「ううん、全然。私ので良かったら、いつでも」
「今度、お礼させてね」
そんなの、いいのに。
口だけかもしれないけど、そんな礼儀正しいところも素敵だなと思う。
さっと渡すと「またね」と言って出て行ってしまう宮舘君ともっと話したかったなと思う気持ちと、アユミちゃんの前とは違う笑顔をこれ以上見たくないという気持ちが交差してもう感情がぐちゃぐちゃだ。
「……一緒に帰る?」
何か言いたげにしていた深澤の第一声は、思わず変な声を出してしまいそうになるくらいには予想外で、一瞬固まる。
「…深澤ってさ、案外不器用だよね」
「…わりぃかよ」
「…ううん、…ありがと」
珍しく素直な私に少し驚いた顔をして、それからすぐに苦笑した。
「まぁ、弱ってる女の子には胸を貸すのが男のルールだからね」
「…別に、弱ってはないけど」
「そんでもって、弱ってる女の子は黙って胸を借りるもんなのよ」
…だから、弱ってないって。
言えなかったのは、深澤があまりにも優しい目付きをしていたから。
…なんなのよ、ほんと。
いつもウザイくらいに絡んでくると思ったら、一人になりたい時までそばにいるし。
わざとなのか無意識なのか、たまに深澤の優しさが染みちゃうし。
良くも悪くも、深澤はいつも私の頭のどこかにいるんだ。
「分かったら帰るぞー」
「でも、まだ日誌…」
カバンを持って席を立つ深澤は、私から日誌とシャーペンを奪うと一日の報告欄に“ヒミツ”とだけ書いて日誌を閉じた。
それを持って出て行こうとするから慌ててシャーペンをしまってついていく。
次の日、二人で怒られたのは言うまでもない。
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バンビ(プロフ) - 葉月さん» 葉月様、コメントありがとうございます。これからも楽しんで頂けるように頑張ります。これからもよろしくお願いします。 (2022年4月22日 16時) (レス) id: 0059ecb2b1 (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - 本当に話一つ一つ大好きです。これからも応援しています!無理になさらないように自分のペースで頑張ってください♡ (2022年4月22日 15時) (レス) @page49 id: e15b346611 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:バンビ | 作成日時:2021年12月4日 22時