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夜に栞を挟んで眠る ページ5

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『…けんくんって……誰だっけ…?』

『え…、A…けんくんよ…!……覚えてないの……?』



無機質な白い部屋に、真っ白な病院着を着て、真っ白なベッドの上でそう呆然と話し掛ければ、焦ったような、悲しそうな目をする母親。

何を、言っているの?誰のこと?知らないよ、けんくんなんて……
終いには泣き出してしまって、どうしたらいいか分からないで居ると、ガラガラっと勢い良くドアが開けられ誰かが入ってきた。



『Aちゃん!!』



突然入ってきた彼は、私の名前を叫んで病室へとやってきた。私の名前を知っている彼のことを、私は知らなかった。



『……だ、れ……?』

『……え……?』



嘘だよね?と、さらに寂しそうに目の前の彼が呟くも、私は本当に誰だか分からなかった。体が震える。何故かとてつもない恐怖が私を深い闇へと落とし込んでいく。

怖い…こわい、こわい……!



『あっ…、あの……、ごめんな、さい……』



貴方のこと、知りません……




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「けん…くん……」



……また、かぁ。よく見る夢の一つ、またもやけんくんと呼ばれた男性が出てくる夢。

悪い目覚めという訳では無いのだが、夢の中のけんくんが毎度毎度気になってその後眠れなくなるのだ。

あまりにも夢に出てくるものだから、母親にもけんくんのことを尋ねたことがある。すると、幼稚園の頃私と仲が良かった男の子の名前がけんくんだったと。そういえば…そんな男の子居たかも。と自分の記憶と照らし合わせた。



「夢の中のけんくんは、幼稚園の頃仲良かったけんくんなのかな……」



夢の中のけんくんは、いつも顔が逆光で真っ暗になっているようにまるで見えなかった。楽しい夢に出てくるけんくんも、辛く悲しい夢に出てくるけんくんも雰囲気ではとても物腰柔らかそうな、男の子だった。



「……4時…かぁ」



時刻は4時を回ったところ。どうせこの後眠れないのだから、もう起きてしまおう。

布団から起き上がったところで、祥彰に教えてもらったQuizKnockのことを思い出した。そういえば、YouTubeがあるって言ってたっけ。丁度いいや、今見てみよーっと

スマホを取り出して、YouTubeでQuizKnockと検索をかけると、YouTubeチャンネルと動画の一覧があらわれる。あ、このアイコンの人、東大王の伊沢さんじゃん!!

クイズ業界で有名な彼が立ち上げた、QuizKnock。動画をひとつひとつ見ていく内に夜も更けて、私の好奇心もみるみる、膨れ上がっていったのと同時に見た夢のことなどキレイさっぱり忘れてしまっていた。




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不鮮明な記憶を掘り起こす→←突然降り注ぐ風のように



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設定タグ:QuizKnock , クイズノック , 福良拳   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:りんご | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年7月29日 19時

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