検索窓
今日:29 hit、昨日:6 hit、合計:79,499 hit

泣くように笑う貴方は、 ページ14

.


「え!何これ、ちょー美味い」

「お口に合ったようで何よりです」

「Aさん、料理上手なんだね」

「一通りの事は母に習いました」



キッチンと冷蔵庫内のいくつかの材料を借りて、即席のおかずをいくつか作ってテーブルに持っていった。
もちろん1人で食べるつもりもなかったから作業していた皆さんを呼んで。



「福良、きちんと残さず食べなよ?」

「……分かってるよ」

「……あ、何か苦手なものありました?すみません……」



そういえば、何が苦手か聞かずに作っちゃったな。アレルギーとかあったかな。

申し訳ないなと思っていると河村さんに「いーのいーの。福良に合わせてたらご飯お菓子になっちゃうよ」なんて言われた。……お菓子が、ご飯になるの…?



「え、福良さんもしかして…」

「そうだよ。福良さん、好き嫌い多いのよ」

「多いどころじゃないでしょ、野菜全般嫌いなんだから」

「野菜嫌い……」



確かに福良さんがさっきから大皿のおかずから、野菜を取る姿を見ていないかもしれない。そうか、福良さん、野菜嫌いなんだ……



───やさいたべないと、おおきくなれないよ!
───たべなくても、なれるもーん!


「痛っ…!」

「Aちゃん?大丈夫…?」



何…今の……

また、だ。幼い頃の私が、誰かと話しているのが頭に流れ、再びあの頭痛に襲われる。思わず手から箸がテーブルに落ちてしまった。心配そうに私を見つめる須貝さんから箸を受け取って、流しに洗いに行くとふと福良さんと目が合った。



───けんくん!ほら、にんじんたべなよ!
───いやだー!たべたくないー!きらい!




「けん……くん……」

「………え?」

「あれ……、えっと……」



今、私けんくんって言った?けんくんって…あの、けんくん?
いつも私の謎の夢の中に出てくる、けんくん…けれども、あの夢の中のけんくんは、高校生だ。さっきから私の頭にチラついているのは、もっともっと幼い頃の……



「どうしたの、Aさん。福良がどうかしたの?」

「え?福良さん?」

「けんくんって、呼んでなかった?」

「ああ、そういえば福良さんの下の名前って拳だったよね」

「……そうだね」



福良…拳
ふくら…けん
拳…くん?



「野菜嫌いの…拳くん……?」

「え…?」

「……幼稚園で、いつも野菜が食べられなくて泣いてた…拳くん?」



そう話しかけると、福良さんは泣きそうな顔でふにゃと笑い、そうだよ。と小さく一言呟いた。




.

考えても分からない→←ここは腕の見せ所…?



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (51 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
215人がお気に入り
設定タグ:QuizKnock , クイズノック , 福良拳   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:りんご | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年7月29日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。