cosmic is きらきら (ページ9)

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コンカツ(Lt.GRE) ページ9

『一目惚れです』
『笑顔が素敵』
『眉毛の形がいい』
『身長がいい』
『声がいい』
『かっこいい』
『薮くんほんと好き』
『彼女いても不倫でもいい2番目でもいい』

酔っ払ったAちゃんは俺を褒めまくって最後にはちょっと危ないことを口走ってた。

そんな彼女は年上だって気にしないくらい会話が楽しくて。
Aちゃんの友達は"喋って損するタイプ"なんて言ってたけど全然。
男特有の軽いお下品なネタに走っても(この場合特に伊野尾)笑って面白おかしく返してくれるし、久しぶりに女性と楽しく呑めたかもしれない。

「やぶぅ、俺ん家近いしいいよね？」

「うん、よろしくー」

タクシーの中、こんこんと眠るAちゃんは俺らで預かることになった。
友達は彼氏が迎えに来てくれるからって置き去りで帰りやがった(この前のパーティで出来たらしい)

それにしても伊野尾と近くね？
あれ？俺のことがすきなんだよね？
おかしくね？

俺としてはもやもや…というかもはや、やきもき。
伊野尾の肩借りてぐーすかぴーすか。

伊野尾のマンションに着いたからって起こせば
半目で寝ぼけながら、やっぱり伊野尾にべったり。
今は伊野尾のベッドに縮こまって再びぐーすかぴーすか…

「薮の目イッちゃってる。こえーよ」

だっておかしーでしょーよ、さっきまでかっこいいかっこいいもてはやされてさ。
で次は伊野尾？

すると聞こえてきた寝言。
「ぶく、」

2人で顔を見合わせた。

「や、ぶく、ん…」

「これ、俺と薮を間違えてるパターンじゃね？」

「…」

嬉しい、いやでも嬉しくない！
だって間違っちゃってるじゃん。
Aちゃんがぎゅーって抱きついてるのは俺じゃないもん。

「まぁまぁそんな怒んなよ。でもさ、薮意外だったわ」

「は？」

「俺の中ではね、こーゆーちょっとめんどくさい子？あんまり薮のタイプじゃないと思ってたからさ」

うん、タイプではない。
顔は可愛い方だと思うけど、働いてた俺に連絡先を寄越してきたり酒に飲まれて男の家に平気で上がり込んじゃう子はたしかにめんどくさいというか色んな意味で怖い。

「なんでだろうね、気の迷いかな」

「まぁいいコンビだと思うけどね。薮もちょっとおかしいとこあるし」

酒のせいにしちゃえ！って悪い顔してる伊野尾。

せめて記憶があればそれもできるけど。
Aちゃんはどこまで覚えてるか分からない。

お手洗いで席を立ったAちゃんを追いかけて…

「きっと忘れちゃってるよね」