検索窓
今日:10 hit、昨日:6 hit、合計:7,476 hit

Luv ya(ORN) ページ30

「…サロンまで送る」

「ありがとう。じゃあお言葉に甘えて!」


朝7時。
普段の俺だったら起きれてないけど妙にすっきりと目が覚めた。
Aがベッドから出る。
本当はAの手を引いて、もう1度ベッド戻して、未練がましく『別れたくない』って言いたい。
諦められない。

Aに手を伸ばそうとする。



「カフェオレ作ってあげるね」

振り返って微笑み、俺の手を交わした。

俺がやりたいことも、俺の気持ちもAには手に取るように分かるはず。
それが2人の距離。





俺はコーヒー飲まないけど、Aはカフェイン中毒かってくらいコーヒーが好きだから
いつの間にか俺の部屋にもおしゃれな陶器のドリッパーとおしゃれなサーバー、ペーパーフィルターが置かれてる。
置きパジャマはしなかったくせに、それはそれはしれーっと集まってた。



俺用にAは温めた牛乳を注いだマグカップにコーヒーを注いでく。
ぐるぐるぐるって放射線状のコーヒーが牛乳の白とじわじわ混ざり合う。

俺とAも、こうなれればいいのに。
白が多いカフェオレが出来上がった。









「昨日の館山デート楽しかった!あーゆーの久しぶりだったね。…最後にすっごいいい思い出ができた」

助手席のAの表情をちらっと横目で確認する。

まだ付き合ってすぐの頃はよく館山に連れていったけど…
最近は手軽に近場だったり、むしろお家デートだったりしたから。

「うん!すっげー楽しかった!…っ」


"また行きたいよね"って言いかけて、止めた。




生憎の天気。
まだ雨は降ってないけど"お足元が悪い中"なんていう一文を付け加えること間違いなしな天気。


「大貴」

「ん?」

「大貴と出会えてよかったよ。だからこうなることも後悔してない」

「俺も、Aと付き合えてよかったよ」



…別れる後悔は、絶対する。

今だって信号赤にならないかなって考えてた。
この先にある信号機が全部赤になればいい。
そしたら送り届けなくていいし別れることもない。




なんでAだけにできなかったんだろうね。
けどもう今更遅い。


いつもより華やかなAが助手席のドアを開ける。


「今までありがとう」

「…俺こそ、ありがとう」

「元気でね」



バタン。


いつものコロコロを引いて、ヒールを鳴らして歩くAの後ろ姿が見えなくなるまで。




End


_____________
初悲恋。
大好きなシドさんのある歌が元ネタでパクりではなくオマージュです。尊敬してます。

合わないピントの眼鏡越し(Lt.BLU)→←Luv ya(ORN)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (30 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
18人がお気に入り
設定タグ:平成跳 , HSJ , Short   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:もぶ | 作成日時:2017年1月24日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。