02 ページ7
今なにか否定するようなこと言ったらだめになる気がして。
「Aちゃんも素敵だし、有岡くんも優しくて面白くていい人だし、素敵なカップル」
「あの…」
「ん？」
その時
パタパタパタって足音が近づいてきたらそれは大貴だった。
急いで荷物をまとめて、私に握りしめさせたのは数枚のお札。
「ごめん、ちょっと…」
ああ、まただ。
「わかった。Aちゃんは俺がちゃんと送り届けるから安心して」
「ありがと圭人。ごめんな、じゃあまた今度ゆっくり！」
急ぐ大貴の背中を見送って、急に頬が熱くなった。
タガが外れたみたいに号泣。
「え、…Aちゃん？どうしたの？」
「ん」
「…大丈夫」
「ん」
「大丈夫だからね」
「ん、」
あの頃から、大貴は私の彼氏なんかじゃなかった。
みんなのもの。
みんなの大貴で、それが嫌だった。
縛りつけておきたいって思っちゃう自分も嫌で、飛び回る大貴の自由さもいつの間にか嫌いになってた。
「Aちゃん、帰ろうか」
「…」
「それとも1人になりたくない？」
「ん」
「大丈夫、大丈夫」
いつか私を選んでくれる。
いつか私が1番になれるって思ってた。
でも大貴は平等に優しくて…私はそれが寂しくて。
「私たち、もう終わってるの」
「え」
「ルームシェアしてるだけ。もう関係は破綻してて。でも私、私はまだ…」
だから言いたくなかったの。
こんなに泣いたら大貴が加害者で私が被害者。
事実無根の関係図の出来上がり。
大貴は全然悪くない、ただ私が悪いのに…
背中に優しいぬくもり。
優しくさすってくれてる。
「知らずにあんなこと言っちゃってごめんね」
もちろん圭人くんは1ミリだって悪くない。
だからもう泣きたくない。
「ごめ、止まらな…涙」
「大丈夫だから」
少ししか話したことないおとなりに住む圭人くんの優しさに縋ってしまうほど、
私は愛情に飢えてた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 35人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もぶ | 作成日時：2018年4月8日 15時
