第8話 正しい死 ページ10
.
無駄に戦って体力を消耗したくないので、通りがかる呪霊には幻を見せ、私が"見えない"様にして進む。
そうして部室へと向かって行くと、女性の悲鳴が辺りに響いてきた。相変わらずデカい気配に若干の苛立ちを覚えながらも、走って声の元まで向かう。
長い廊下の先には既に伏黒がいて、その奥には大きな呪霊が人二人を取り込もうとしていた。推測するに、恐らく彼女達が虎杖くんの友達で、呪霊はその友達ごと呪物を取り込もうという魂胆なのだろう。
そうはさせまいと急いで呪霊に手を翳し、暗闇を
「今の内に早く!!」
私より呪霊に近い伏黒にそう叫ぶも、間に合うかどうかは正直分からない。
嫌でも最悪な未来が脳裏をよぎりかけた時、窓ガラスを割って虎杖が豪快に入り込み、取り込まれそうだった二人を呪霊から引き剥がしたのだ。
伏黒「虎杖!?」
「四階からどうやって…」
余りに唐突過ぎて面食らうも、その隙に伏黒が呪霊を祓う。兎にも角にも、取り敢えずこれで危機は乗り越える事が出来た。
伏黒「なんで来たと言いたいところだが、良くやった」
虎杖「なんで偉そうなの…」
「悔しいけど、今日のMVPは君だ!」
虎杖「あ、ありがとう?…因みにあっちで呪いバクバク喰ってんのは?」
伏黒「俺の式神だ。見えてんだな」
思っていたより冷静な虎杖の動きに驚くが、伏黒の言った言葉の意味が分からない様子で頭にハテナを浮かべていたので、説明をしてやる。
「呪いってさ、普通目に見えないんだよ。死に際とかこういう特殊な場は別だけど」
虎杖「あー確かに、俺今まで幽霊とか見たことないしな」
伏黒「お前怖くないんだな」
虎杖「いや、まあ怖かったんだけどさ、知ってた?人ってマジで死ぬんだよ」
伏黒「は?」
虎杖「だったらせめて自分が知ってる人くらいは正しく死んでほしいって思うんだ」
「まあ自分でもよく分からん」と最後に付け足していたが、彼の言葉を聞いて少し考え込んでしまう。
正しい死…
私の両親や祖母は、正しく死ねたのだろうか。
.
552人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ばる - えー覚えてくださってるんですか!ありがとうございます(^ ^*)少しでも作者さんの励みになっているなら嬉しい限りですよ(*´ω`*) (2020年7月28日 20時) (レス) id: b61d069a33 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - ばるさん» 見覚えのあるお名前と顔文字だと思ったらどちらも読んで頂いてるなんて…!!コメントとても嬉しいです!ありがとうございます。誠心誠意更新していくので宜しくお願いします! (2020年7月27日 17時) (レス) id: 619558bbc0 (このIDを非表示/違反報告)
ばる - 作者さんの別作品(銀/魂)も読ませていただいている者です。呪/術/廻/戦もすごく好きな漫画なので嬉しいです!どちらの作品も楽しみに待ってます(*^^*) (2020年7月26日 11時) (レス) id: b61d069a33 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:柊ひな | 作成日時:2020年5月18日 23時