【銀魂】今日もお江戸は平和です 2

第五十三訓 ページ6

.


雨は嫌いだ。

ジメジメしていてテンションが下がる。外を歩くと濡れるし良い要素が見当たらない。

だから雨の日は外を出歩かないようにしていたのだが今日はそんな事を言ってる場合ではなかった。



鬼道丸が亡くなったのだ。病死などではもちろんなく、恐らく天導衆の息のかかった者に殺されて。


旦那から聞いた話、鬼道丸は何人もの子供を養う為に人斬りをしていたらしい。その子供達を連れ江戸から離れようとした際に殺された、と。


湿っぽい日に湿っぽい話をもって来てしまい大変申し訳ないが、一応報告をしなければと思い今日は万事屋に来た。

鬼道丸が育てていた子供達は私達が引き取り先を探すことを伝え、帰ろうと立ちあがると、ガララと戸が開いた。中に入って来たのはなんと鬼道丸のトコにいた子供達で。



「テメーら！ココには来るなって言ったろィ？」

「お願い！先生の敵討ってよォ！」



宝物をあげるから、たった一人の大好きなお父さんだから、と泣きながら頼んでくる子供達に総悟が帰れと促す。

その時、旦那が子供達が持ってきた宝物の中の一つを手に取り、男の子に話しかけた。



「オイ、コレ今流行りのドッキリマンシールじゃねーか？」

「そーだよレアものだよ。何で兄ちゃん知ってるの？」

「何でって、俺も集めてんだドッキリマンシール。コイツのためなら何でもやるぜ。後で返せっつってもおせーからな」



そう言って玄関に向かう旦那に、いつの間にかいた土方さんが「……死ぬ気か」と忠告をし行く手を阻む。



「行かなくても俺ァ死ぬんだよ。俺にはなァ心臓より大事な器官があるんだよ」



目には見えないが自分の中に確かにあり、それがあるから自分が立っていられる、と。



「ここで立ち止まったらそいつが折れちまうのさ。
＿＿魂が折れちまうんだよ」



話しながら歩いて行く旦那に続き、子供達が持って来た宝物を手に玄関に向かって行く神楽ちゃんと新八くん。

土方さんはそれ以上止めなかったが、呆れた顔をしている。そんな彼の横を通り過ぎ、私と総悟も子供達が置いていった宝物を持って玄関は向かう。



「…ってお前ら何してんだァ！？どこに行くつもりだァァ！！」

「すまねェ土方さん。俺もまたバカなんでさァ」

「同じく私もバカなんです。男も女もバカならオカマが世界最強になったりするんですかね？」



振り返ってそう言ってみれば、土方さんは溜め息を吐いて。また呆れた顔をしていた。



.

第五十四訓 煉獄関篇 終→←第五十二訓

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す