第九十訓 ページ43
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心配してくれるのは有り難いがまだ近くにいるかもしれないのに大声を出されると見つかってしまう。そう思い注意したのだが、遅かった。
ニヤッといやらしい顔でこちらを見たと思えば吹っ飛ばされる自分の体。受け身をとったのでモロにくらいはしなかったが、ダメージはある。
「Aさんんん!!」と新八くんの声が聞こえてきたので「ヘーキヘーキ」と笑いながら体を起こす。
「背中向けて逃げるだなんて、貴女それでも侍?そんなんでよく天下の柳生に挑んでこれたものね」
どうやら、私が先程の勝負を放棄してしまった事が相手は気に食わないらしい。先程までの茶番劇は何処へやら、少々お怒りの様子だったので私も負けじと言い返す。
「逃げたァ?やだなぁ、そんな訳ないでしょ。作戦です、作戦。そんな事にも気付けないなんて、天下の柳生が聞いて呆れますね」
「嘘ついてる。さっき逃げたって言ってたのにバカにされて悔しいから嘘ついたよ、あの人」
外野が何か言っているが、ここは聞こえないフリ。
"作戦"という言葉に分かりやすく動揺するオカマに追い打ちをかけるように「今降参するなら皿だけで勘弁してあげるますよ?」と煽ると青筋を立て叫びながら走って来た。良くも悪くも、この人は扱いやすい。
室内じゃ狭いので一旦外へ出て相手の攻撃を受け止める。が、力負けしてしまい吹き飛ばされて尻もちをついてしまった。
パワータイプの人と正面からやり合うのは良くないと反省したところで、また向かって来たので咄嗟に石を投げ、怯んでいる隙に頭に木刀を叩きつけるもビクともしない。頭に鉄でも入ってんのかな。
「そんなぬるい攻めじゃアタシには勝てないわよ」
「別に貴方を喜ばせるのが目的じゃないので。私達の目的、忘れてません?」
私の言葉にハテナマークを浮かべるオカマに、自分の左腕をちょんちょんと指差すとやっと意味が分かったのか目を見開いた。
「っ、貴方…いつの間にアタシの皿を!?」
「あっれぇ、おっかしいなぁ〜?もしかして気付いてなかったんですかぁ〜?」
オカマの左腕についていた筈の皿を私が持っているのを確認すると、声を荒げるオカマ。
私がオカマの頭に木刀を叩きつけた時に取ったと教えてあげれば「あの大胆な攻撃は私の注意を皿に向けないため、皿を取るための誘導だったのね…」とご丁寧に解説付きで驚かれた。いやはや、照れますなぁ。
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柊ひな(プロフ) - 桜さん» 面白い……!?そう言って頂けるとお世辞だとしてもとても嬉しいです!更新頻度がバラバラで申し訳ない限りなのですが、私の出来る範囲で頑張っていこうと思います!コメントありがとうございます! (2019年5月4日 0時) (レス) id: de18b107bf (このIDを非表示/違反報告)
桜 - コメント失礼します。初めて読まさせていただきましたが、すごく面白いです!更新頑張ってください! (2019年5月2日 18時) (レス) id: 7ff3846d52 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - 折角お誘い下さったのに本当にごめんなさい!!!!!そんな私がこんな事を言うのはおこがましいと分かってはいるのですが、また別の機会に誘って下さると嬉しいです。長ったらしくてすいません。 (2019年4月27日 21時) (レス) id: 105b197957 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - 軽く調べて見たのですが、まぃさん!素晴らしく可愛いですね!(見た目の清楚さが特に)だからこそド素人の私が書いてしまうとキャラ崩壊が半端じゃなく事故作品にしてしまう気がして、ミリアさんに迷惑をかけると思うんです… (2019年4月27日 21時) (レス) id: 105b197957 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - お誘い下さりありがとうございます!銀魂恋愛合作!!是非ともご一緒にやらせて頂きたいのですが、私自身たくっちさんの動画を拝見した事がなく、名前なら知っているのですがご期待に添えるようにはできないと思います。 (2019年4月27日 21時) (レス) id: 105b197957 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊ひな | 作成日時:2019年4月17日 22時