第四十八訓 ページ49
.
「山崎、私のプリン半分あげるからそっちの杏仁豆腐も半分…ぐえっ、」
山崎に頼もうと後ろを振り向いて喋った途端、襟首を思い切り引っ張られ喉が詰まる。
仮にもこの小説のヒロインである私にカエルの潰れた声をさせた犯人は言わずもがな、沖田総悟である。
「痛いわバカ」
「ん」
「ん?」
「半分やりまさァ」
「もう腹一杯なんで」と言って、嫌がっていた総悟が唐突に残りの半分をくれた。が、シンプルに怖い。これは絶対裏があるとしか思えないのもある。
「わさび入れたんでしょ」
「ンな低レベルなドッキリ俺はしねェ」
「いつもしてるよね?」
土方さんに馬鹿みたく真っ正面からバズーカ撃ちまくってるのは幻か何かか?
そう疑いの目で総悟を見て、残りの杏仁豆腐にも目を向ける。見た感じでは何もされていない。
……本当に、純粋に、ただでくれただけなのか?
いつも通りのポーカーフェイスなため表情は読み取れないが、折角あげると言われたのだし少々不安が残るけれど「ありがとう」と言って受け取る。
「…どうせくれるんだったら始めから素直に渡してくれれば良かったのに」
「あーこのプリン美味いなー」
杏仁豆腐に手を掛ける間際に聞こえた、棒読みの声。
ギョッとして横を見ると私がまだ手を付けていないプリンを食べている総悟。ただ食べてるだけなら良いのだが、アレは確実に半分以上食べている。
「総悟さん。私まだ一口も食べてないんですが」
「始めからプリンにしときゃあ良かったなー」
「だからまだ食べてないんだって。聞こえてますか?全部食べるつもりじゃないよね?」
「でもなーBセットのカレー美味いんだよなー」
「何さらっと完食してんだよ。殺すぞドSコラ!」
「うるせェな。デザート一つで熱くなってんじゃねーよ」
掴みかかろうとしたら隣から聞こえてくる土方さんの声。「俺のやるから落ち着け」と、学習しないでさっきのゴミを渡してくる始末。
「だからゴミはいらないってさっきも言いましたよね?杏仁豆腐を黄色く染めた貴方は私の敵です」
「ゴミじゃねェ、こっちの方が美味いだろーが」
「みんなー!ここに敵が、敵がいるよー!誰か粛清してー!このままじゃ私の杏仁豆腐まで………杏仁豆腐どこいった」
「やっぱBセットが良いのかなー」
「ねェ…何でお前が全部食ってんの?君は何がしたいの?…オイコラ聞けやドS。テメェに言ってんだよ」
「「「……仲良いなぁ」」」
.
759人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柊ひな(プロフ) - サヤ&アキさん» 紅桜篇は書いてません!書く予定もないです。紅桜篇で真選組が登場するのは劇場版で、中嶌単体で出す案も考えたのですが無理矢理感が出ると思いやめました。吉原炎上篇も同じ理由で書く予定はなかったのですが書かないと新キャラ二人の出る機会がないと思い書きました。 (2021年3月3日 11時) (レス) id: 7c8f4bb7ef (このIDを非表示/違反報告)
サヤ&アキ - 紅桜編ってどこですか? (2021年3月3日 0時) (レス) id: a63af908e0 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - 黒華さん» 私の紛らわしい言い方で気を遣わせてしまいすみません…不快だなんて全く思ってないです!わざわざ応援までありがとうございます(泣) 更新頑張ります! (2020年5月20日 17時) (レス) id: 3fe6b67371 (このIDを非表示/違反報告)
黒華(プロフ) - この間のコメントに不快を感じさせてしまっていたらすみませんm(*_ _)m物語シリーズを作者様が知っていたことが嬉しくて『おぉ!!』って思ったんです。銀魂な感じが出ている作風でとても好きです!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2020年5月20日 15時) (レス) id: 0ab52dedef (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - 黒華さん» そりゃ丸パクリして使われてたらゾワッてしますよね…笑 (2020年5月20日 15時) (レス) id: 3fe6b67371 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:柊ひな | 作成日時:2019年4月6日 23時