第四訓 ページ5
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「なんですって?斬る!?」
「ああ、斬る」
「件の白髪の侍ですかィ」
会議から暫くして、私達は馬鹿な隊士達が至る所に貼った紙を剥がして回っている。その内容を簡潔言うと、"俺らの大将負かした奴出てこい"だ。
あれ以来、隊士が仇を取ろうと殺気立っているので面倒事になる前に土方さんが白髪の侍を斬るらしい。
「愛されてる証拠じゃないですか。いやぁ羨ましい。さすが近藤さんですね」
「呑気なこと言ってる場合か…ったく、どこにいやがんだ、その銀髪ヤローは」
「土方さんは二言目には斬るで困りまさァ。古来、暗殺で大事を成した人はいませんぜ」
「暗殺じゃねェ、堂々と行って斬ってくる」
「そこまでせんとも、適当に白髪頭の侍見繕って連れ帰りゃ隊士たちも納得しやすぜ」
「これなんてどーです」と、明らかに今見つけてきたおじさんを連れて来た総悟。侍、というよりは落ち武者感が強かったので却下。
白髪という情報しかない今、特定の一人を探し出すのはかなり難しいが、土方さんも近藤さんを負かした侍がどんな人なのか気になるのだろう。
すると突然、頭上から抑揚のない間延びした声が聞こえてきた。
「おーい兄ちゃん、危ないよ」
と同時に、頭の真上に落ちてきた大量の木材を土方さんがを間一髪で避ける。ナイス反射神経。
「あっ…危ねーだろーがァァ!!」
「だから危ねーっつったろ」
テンションあげて言えだとか大分怒っている様子の土方さんの声を聞き、屋根の上から梯子で降りて来たのは見覚えのある白髪頭だった。
「あ"あ"あ"あ"!!テメーは池田屋の時の…そぉか…そういやてめーも銀髪だったな」
「…えーと、君だれ?あ…もしかして大串君か?アララ、すっかり立派になっちゃって。なに?まだあの金魚デカくなってんの?」
降りてきたと思ったら訳の分からないことを言うだけ言い、呼び出しをくらって仕事に戻る”銀さん”と呼ばれた男の人。…会話の流れに乗れないのだが。
「いっちゃいましたよ。どーしやす大串君」
「誰が大串君だ。あの野郎たった一話で人のこと忘れやがって…A、ちょっと刀貸せ」
「えぇ…」と嫌な顔を全面に押し出しながらも渋々刀を渡す。嫌な予感しかしない。総悟もいるのに何故わざわざ私に言うんだ。
「もし折ったら大串君の金魚焼いて食べますから」
念の為そう言うと「大串君じゃねェ」と返ってくる。そのまま梯子に手を掛け、白髪の侍を追っていった。
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柊ひな(プロフ) - サヤ&アキさん» 紅桜篇は書いてません!書く予定もないです。紅桜篇で真選組が登場するのは劇場版で、中嶌単体で出す案も考えたのですが無理矢理感が出ると思いやめました。吉原炎上篇も同じ理由で書く予定はなかったのですが書かないと新キャラ二人の出る機会がないと思い書きました。 (2021年3月3日 11時) (レス) id: 7c8f4bb7ef (このIDを非表示/違反報告)
サヤ&アキ - 紅桜編ってどこですか? (2021年3月3日 0時) (レス) id: a63af908e0 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - 黒華さん» 私の紛らわしい言い方で気を遣わせてしまいすみません…不快だなんて全く思ってないです!わざわざ応援までありがとうございます(泣) 更新頑張ります! (2020年5月20日 17時) (レス) id: 3fe6b67371 (このIDを非表示/違反報告)
黒華(プロフ) - この間のコメントに不快を感じさせてしまっていたらすみませんm(*_ _)m物語シリーズを作者様が知っていたことが嬉しくて『おぉ!!』って思ったんです。銀魂な感じが出ている作風でとても好きです!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2020年5月20日 15時) (レス) id: 0ab52dedef (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - 黒華さん» そりゃ丸パクリして使われてたらゾワッてしますよね…笑 (2020年5月20日 15時) (レス) id: 3fe6b67371 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊ひな | 作成日時:2019年4月6日 23時