第三十五訓 ページ36
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歩き出したそよ姫様の腕を神楽ちゃんが掴む。「何してんだ」と土方さんが眉間に皺を寄せて聞けば、団子の棒を土方さんに向かって吐き出してきた。
「オイ、待てっ!!」
土方さんの制止も聞かずに走り出す二人。というか、そよ姫様は引っ張られている。近くの隊士とも協力し二人の後を追いかけるも、夜兎族さまさまの運動神経で屋根の上に登られてしまった。
「…ありゃ、万事屋のトコのチャイナ娘じゃないのか?何故姫と」
「さァ」
駆けつけた近藤さんと総悟がパトカーの側で話し合う声が聞こえる。声に紛れてガシャっと不気味な音が聞こえたのは気のせいであってほしい。
「ちょっとォ!!総悟君!!何やってんの物騒なモン出して!!」
「あの娘には花見の時の借りがあるんで」
「待てっ!姫に当たったらどーするつもりだァ!!」
「そんなヘマはしねーや。俺は昔スナイパーとというあだ名で呼ばれていたらいいのにな〜」
「オイィィィ!!ただの願望じゃねーか!!」
気のせいではなかった。焦る近藤さんとバズーカを構える総悟。わちゃわちゃ揉めてるのを横目に屋根を見上げる。隣で土方さんが大声で呼びかけるも、反応はない。
「お前、姫サンと知り合いだったのか」
「えぇ、浪士組だった頃にちょこっと。あれ、言ってませんでしたっけ?」
「聞いてねェ」
「とっつぁんと偶にいなくなってた時あったでしょ。あの時に遊んでたんです」
若い女の子がお城にはいなかったから、私がいろいろ教えてあげたり遊んでいたのだ。田舎から上京してきたただの芋っ子が城内にいるのには、あまり良く思われていなかったけど。
「私達めちゃめちゃ仲良いんですよね」とドヤ顔で言えば「その割には姫サン怯えてなかったか」とかほざきやがるので、脛を蹴っといた。
「そう心配しなくても、もうすぐ帰って来ますよ」
「姫サンがそう言ったのか」
「いいえー?ただの勘ですけどね」
彼女は自分自身のことをよく分かってる。分かっていたけれど、気付いたら抜け出してしまったのだろう。
息苦しくて、窮屈で、耐えられなくて。外に出て吐き出したかったのかもしれない。私も、その気持ちはよく分かる。
「副長ォ!姫様帰って来ました!!」
「直ぐにお連れしろ!!」
「逃がすんじゃねェぞ」と姫様に向けて言って良いのか心配になるような言葉を吐いてるが、暑い中探し回ってイライラが増しているのだろう。
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柊ひな(プロフ) - サヤ&アキさん» 紅桜篇は書いてません!書く予定もないです。紅桜篇で真選組が登場するのは劇場版で、中嶌単体で出す案も考えたのですが無理矢理感が出ると思いやめました。吉原炎上篇も同じ理由で書く予定はなかったのですが書かないと新キャラ二人の出る機会がないと思い書きました。 (2021年3月3日 11時) (レス) id: 7c8f4bb7ef (このIDを非表示/違反報告)
サヤ&アキ - 紅桜編ってどこですか? (2021年3月3日 0時) (レス) id: a63af908e0 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - 黒華さん» 私の紛らわしい言い方で気を遣わせてしまいすみません…不快だなんて全く思ってないです!わざわざ応援までありがとうございます(泣) 更新頑張ります! (2020年5月20日 17時) (レス) id: 3fe6b67371 (このIDを非表示/違反報告)
黒華(プロフ) - この間のコメントに不快を感じさせてしまっていたらすみませんm(*_ _)m物語シリーズを作者様が知っていたことが嬉しくて『おぉ!!』って思ったんです。銀魂な感じが出ている作風でとても好きです!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2020年5月20日 15時) (レス) id: 0ab52dedef (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - 黒華さん» そりゃ丸パクリして使われてたらゾワッてしますよね…笑 (2020年5月20日 15時) (レス) id: 3fe6b67371 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊ひな | 作成日時:2019年4月6日 23時