【銀魂】今日もお江戸は平和です

第二十九訓 ページ30

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久方振りに見る花火に感動しつつ焼きそばに手を伸ばした瞬間、上を向いていたカラクリの腕がこちら側、


将軍様のいる櫓に向いた。


ハッとしたと同時に、ドォンという爆音と辺り一帯に煙が充満する。煙幕、だろうか。



「混乱に乗じて将軍狙うつもりだな！てめーら櫓の周りをかためろ！鼠一匹寄せつけるんじゃねーぞ！！」



将軍様の御身を守る為、櫓に向かおうとすると後ろから沢山の何かが近付いてくる気配が。祭りのお客さんとはまた別の何か。



「かっ…カラクリだァァ！！」

「カラクリの軍団が…！！」



気配の正体は、大きなカラクリ達。将軍様の首をカラクリで取るつもりなのだろう。勿論、そうはさせまいと刀を抜く。

カラクリを止めることも大事だが、まずはこのカラクリを作った彼のところへ行かなくては。彼に逃げられちゃ意味がない。カラクリの相手は他の隊士で十分だ。


客も屋台の店主もみんな逃げていった為、先程までは人通りが多かった道もスムーズに通ることができた。


否、みんなではない、向こうに誰かいる。

影に隠れ見づらいが左目に包帯、紫色の髪。



「こんな所で何してるんですか？早く逃げないとおまわりさんに捕まっちゃいますよ」



「例えば、私とか」そう言いつつ彼の頭に刃を向けながら微笑む。割とピンチだと思うが、刀に手もかけずこちらを見遣る高杉の表情には余裕が見えた。



「ククッこんなとこで紅蓮の狂華に会えるとはなァ」

「その呼び方やめて下さい。厨二臭くて嫌いなので」



眉をひそめて答えればまた笑う。ツボ浅杉。

なんかムカつく態度だな。と思った事がそのまま口に出て、早々に刀を振り下ろせば軽々と避けられる。

まァこれで「あーーッ！！」とか言って斬られたらそれはそれで拍子抜けするけども。



「ムカつく、ねェ…こんなとこで俺と構ってていいのかィ？お前らの大事な将軍様の首がカラクリどもに狙われてんだぜ」

「将軍様はとっくにお逃げになりましたよ。だから大人しく捕まれ厨二病患者」

「そりゃ残念だなァ、面白いと思ったんだが」



挑発にも乗ってこない彼とは気が合いそうにない。犯罪者と気が合うのもおかしいが、少しの会話で苦手なタイプだと悟った。



「攘夷思想を掲げてる訳でもない貴方がカラクリ技師をけしかけてまで…一体何を企んでるんです？」


「狂華は頭が切れるようだなァ。

＿＿あぁ、狂華じゃなくて"鬼"の方が良かったか？」



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