◇39 sho ページ39
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______出会い#3______
Aさんにとってそれは
酔っ払いを慰めるためだけの言葉だったのかもしれない
でも、その言葉に俺は救われたんだ
背中の重荷がすっ…と解けていくようだった
誰にも分かってもらえなくても
この目の前の人がそう思っていてくれるなら
分かっていてくれるなら
もうそれだけでいいと、なぜか思った
その日から驚くほど俺の中で何かが吹っ切れたようで
夜もちゃんと眠れるようになった
現場でも"紫耀なんか雰囲気変わったね"
"表情が明るくなったし、柔らかくなった"
そんな言葉や、仕事で評価してもらえることも増えた
あれからしばらく仕事が立て込み
次にバーを訪れたのは３週間ほど経ってからだった
あの人、いるかな…
都合よくいるはずないよな、そう思いながら店内を見渡すけど、真っ先に彼女が目に入る
彼女にこの前のお礼を言いたかった
でも、その人は俺に気付く様子もなく楽しそうにマスターと話していて
俺のことなんて、覚えてるわけないか…
突然声かけても迷惑だよな
そういや俺、知らない女の人に自分から声かけたことないからどうしていいのかわかんないわ…
考え込んでしまい、結局声をかけられず
とりあえず俺は端っこの席に座った
マスター『Aちゃん今日は表情が明るいね』
A『え、そんな顔にでてました？笑 実は、大きな企画を任させることになって』
マスター『すごいね。おめでとう』
この人常連なのかな？マスターと親しげに話してるし
俺はただそんなマスターとの会話をこっそり聞くことしかできず
"A"って名前なんだ…
そこで初めて、俺はAさんの名前を知った
彼女とは4つほど席の離れた距離
近くもなく、遠くもない歯痒いその距離は
俺の中に芽生えたAさんへの特別な感情をじわじわと煽っていった
長い睫毛と、大きくて澄んだ瞳
オレンジのライトに照らされるその綺麗な横顔に気づけば見惚れていた
近づきたいのに、近づけない
Aさんはそんな人だった
勝手に俺の中を大きく変えたくせに
本人は何事もなかったように忘れ去って知らない他人の顔をしてる
だから、もっとAさんのこと知りたいと思うのに
誰もテリトリーに踏み込ませないようなそんな雰囲気に
俺はなにもできなかった
でも、ふとした時に思い出すのはまだ何も知らないAさんのことで
声をかけられもしないくせに
俺はAさんに会うためにバーに通い始めていた
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たむ - めちゃくちゃ面白くて引き込まれました！！これを楽しみに仕事頑張ります！！更新される事を待っています(>_<) (2021年7月4日 3時) (
レス) id: 7855f798e1 (このIDを非表示/違反報告)
サンリオ(プロフ) - 更新されていて嬉しいです。ありがとうございます (2020年3月14日 16時) (レス) id: ff278406bf (このIDを非表示/違反報告)
ラピス(プロフ) - 初めまして。読ませて頂きました。確かにきっかけは何でもいいとおもいますよね。人を好きになるって力をくれますが…切なさとかもあったりして色んな感情を与えてくれたりしますよね。お話し楽しみにしてます。 (2020年3月14日 11時) (レス) id: a9f033db9b (このIDを非表示/違反報告)
Azuki(プロフ) - 初めまして。更新ありがとうございます！素敵なお話で楽しみにしていました。続きもとても気になります！応援しています。 (2020年2月27日 20時) (レス) id: 8005b02827 (このIDを非表示/違反報告)
わわ(プロフ) - みゆさん» コメントありがとうございます！！更新がんばります！ (2020年2月2日 21時) (レス) id: 1ed40d5049 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わわ | 作成日時：2020年1月25日 19時
