◇37 sho ページ37
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_____出会い#1______
Aさんに出会ったのは
まだ、蒸し暑い夏の夜だった
デビューしてから続々と増える仕事
求められていることは嬉しいことで
休みがなくても、寝る時間がなくても
ただ目の前の仕事に全力だった
"世界を目指すなら、今はお前がグループを引っ張っていく必要がある"
"グループの知名度を上げて、メンバー1人1人が活躍するためには今、エースとしてお前がなにをすべきかわかるだろ?"
そんな言葉がいつも俺の背中にのしかかる
プレッシャーも、責任も
軽く受け流せるほどのものではなくなってきた
でも、メンバーやスタッフの前ではなんてことない顔をしてた
"紫耀はなんでもできる"
"やっぱスターだよな"
その期待に応えなきゃと、身体も心も勝手に反応してしまうから
でも
次第に、疲れていても眠れない日が続くようになった
正直、しんどかった
なにをしても気が休まることはなく
苦手な酒に頼ろうとしてふらっと訪れた近くのこのバー
この周辺は芸能人が多く住むだけあって、マスターは俺に気付いた様子だった
でも、騒ぎ立てるわけでも、特別扱いをするわけでもなく
ただ、静かに頼んだジントニックをだしてくれる
その空気感が心地よくて、よく通うようになっていた
最初の動機はそれだけだった
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バーに通うようになって1週間ほど経った頃だった
夜になっても冷めない蒸し暑さを搔き分けて
虚な顔のままバーへ向かった
いつものように一人でカウンターの1番端に座ってジントニックを飲んでいた時
バーのドアが開く音がしてなんとなく顔を上げると
まわりの客がみんな、店内へ入ってくる1人の女性に目を奪われていた
確かにすごい綺麗な人だった
でも、職業柄、容姿の整った人なんて毎日のようにみていたし
最初はただ綺麗な人が来たな
女の人が1人で珍しいな
なんてくらいにしか思ってなかった
頭の中は、またすぐに仕事のことでいっぱいになって
明日の撮影は…取材は…
その間に次の台本覚えて…
そんなことばかりが頭をめぐる
何もかもから、逃げ出したかった
弱った身体中にアルコールが染み渡っていく感覚が徐々に広がっていく
2杯目のジントニックを喉に流し込む頃には
手元が覚束なくなって
ああ…やべぇ
グラス倒れちゃった
床へ…ジントニックがゆっくりとこぼれていって
汚れた場所を拭かなきゃと思うのに
でも、腕は鉛のように重くて
倒れたグラスに手を伸ばすことさえも出来なかった
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たむ - めちゃくちゃ面白くて引き込まれました!!これを楽しみに仕事頑張ります!!更新される事を待っています(>_<) (2021年7月4日 3時) (レス) id: 7855f798e1 (このIDを非表示/違反報告)
サンリオ(プロフ) - 更新されていて嬉しいです。ありがとうございます (2020年3月14日 16時) (レス) id: ff278406bf (このIDを非表示/違反報告)
ラピス(プロフ) - 初めまして。読ませて頂きました。確かにきっかけは何でもいいとおもいますよね。人を好きになるって力をくれますが…切なさとかもあったりして色んな感情を与えてくれたりしますよね。お話し楽しみにしてます。 (2020年3月14日 11時) (レス) id: a9f033db9b (このIDを非表示/違反報告)
Azuki(プロフ) - 初めまして。更新ありがとうございます!素敵なお話で楽しみにしていました。続きもとても気になります!応援しています。 (2020年2月27日 20時) (レス) id: 8005b02827 (このIDを非表示/違反報告)
わわ(プロフ) - みゆさん» コメントありがとうございます!!更新がんばります! (2020年2月2日 21時) (レス) id: 1ed40d5049 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わわ | 作成日時:2020年1月25日 19時