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いつぶりだろう
重厚な木彫りのドアを控えめに開くと
聴き慣れたジャズが耳に入る
少しだけ開いたドアから薄暗い店内を注意深く見渡し、彼がいないのを確認してから
店内へ足を踏み入れた
マスター「いらっしゃい。久しぶりだねAちゃん」
A「…ご無沙汰です。マスター」
酔い潰れた日から、マスターに会うのが気まずくてずっと来ていなかったバー
でも、ずっと…ずっと引っかかっていたことを確かめたくて
苦笑いを浮かべながらわたしはいつもの席に着いた
マスター「いつものでいいかな？」
A「…はい。お願いします」
細く長いグラスに、上品な音を立てて注がれていくのは月の色に似たシャンパン
小さな泡が弾けながらガラスの中を泳いでいく
それを一口含み、喉を潤すと
わたしは小さく息を吐いた
A「…あの、先日はご迷惑おかけして…すみませんでした」
マスター「珍しくAちゃん酔ってたね。
でも、私もちょっと買い出しに店出てたし、全然迷惑なんてかかってないよ」
A「……そう、だったんだ」
よかった…あの恥ずかしい醜態をマスターに見られていなかったみたい
と、そう心を撫で下ろしたのも束の間
マスター「それに、ちゃんと王子が助けに来たでしょ？
だから、そう心配は必要ないなと思っててね」
まるで、なにもかもお見通しのように
ニヤリと笑ったマスター
思わず、グラスを口に運ぶ手が止まる
A「……………もしかしてマスター…
知ってるんですか？…彼の…、平野くんの…こと」
マスター「知ってるよ。
半年くらい前からかな、うちの常連さん」
意外にもあっさりと告げられたのは
それだけではなく
マスター「そういえばAちゃん前にも一度、彼と話してたことあるよね。
たしか、彼がこの店に来始めた頃だったかな」
A「……え…」
マスター「ほら、覚えてない？ジントニック2杯で酔っ払っちゃった若い男の子」
ジントニック2杯で…
マスターのその言葉に、微かに思い出したのは
忘れかけていた、１つの記憶
それは
ずっと引っかかっていた"何か"を
確かめるまでもなかった
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たむ - めちゃくちゃ面白くて引き込まれました！！これを楽しみに仕事頑張ります！！更新される事を待っています(>_<) (2021年7月4日 3時) (
レス) id: 7855f798e1 (このIDを非表示/違反報告)
サンリオ(プロフ) - 更新されていて嬉しいです。ありがとうございます (2020年3月14日 16時) (レス) id: ff278406bf (このIDを非表示/違反報告)
ラピス(プロフ) - 初めまして。読ませて頂きました。確かにきっかけは何でもいいとおもいますよね。人を好きになるって力をくれますが…切なさとかもあったりして色んな感情を与えてくれたりしますよね。お話し楽しみにしてます。 (2020年3月14日 11時) (レス) id: a9f033db9b (このIDを非表示/違反報告)
Azuki(プロフ) - 初めまして。更新ありがとうございます！素敵なお話で楽しみにしていました。続きもとても気になります！応援しています。 (2020年2月27日 20時) (レス) id: 8005b02827 (このIDを非表示/違反報告)
わわ(プロフ) - みゆさん» コメントありがとうございます！！更新がんばります！ (2020年2月2日 21時) (レス) id: 1ed40d5049 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わわ | 作成日時：2020年1月25日 19時
