◇32 ページ32
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深夜のピンと張る冷たい空気に
エンジン音が吸い込まれていくように止んだ
それはわたしのマンションの前で
彼は当たり前のようにそこに車を停めた
A「送ってくれてありがとう。…遅くまでごめんね…
明日も仕事…あるんじゃない…？」
紫耀「俺が勝手に連れ回しただけだから。
Aさんはそんなの気にしなくていいんだよ」
そうやって彼はいつも、なんでも自分の責任にして
優しく微笑みながらわたしの罪悪感さえも包んでしまう
紫耀「ねえ、今度は俺から電話していい？この番号」
彼はポケットからスマホを出すと
着信履歴をわたしに見せ、"Aさん"と名前を登録して嬉しそうに笑う
一瞬、戸惑ったけど
気づけば彼の可愛い笑顔につられて、頷いてしまっていた
紫耀「これでいつでもAさんの声きける」
わたしなんかの番号１つに、本当にうれしそうに微笑む彼
また一つ…彼との繋がりが増えた
なんで…って、未だにそう思う
彼がどんなに言葉を尽くしてくれても
その優しさをくれる度に
わたしの胸の奥でつかえたままなのは
そんな、面倒な疑問で
A「…………平野くんは
なんでわたしなんかにこんな優しくしてくれるの」
ただ、理由が欲しかったんだと思う
ありきたりでいいから
安心できる理由が
縋り付ける、運命が
紫耀「…大事な人だから」
でも、真っ直ぐにわたしに届いた言葉は
紫耀「Aさんに出会ってなかったら、きっと今の俺はいない」
ありきたりなんかじゃなく
想像を遥かに超えて
静かに胸を震わせた
紫耀「……やっぱ…
……覚えてるわけないか笑」
まただ…
彼は、寂しげな目をして口元で少しだけ笑う
時折見せるその表情の意味をわたしはずっと知らないままで
A「……え…？」
紫耀「…Aさんが俺を救ってくれたから」
どういうことかまるでわからず、驚いたわたしに
そう力なく微笑んだ彼
紫耀「じゃあ…今日はゆっくり休んで。
今度電話する。またねAさん。」
最後にそう告げて、車に乗り込む彼の背中を
わたしは暫く見つめていた
深みに嵌ってはいけない人
頭ではわかってる
でも、彼の残していった言葉は
わたしを抜け出せない、後戻りできない場所まで連れて行く
罪深いものだった
．
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たむ - めちゃくちゃ面白くて引き込まれました！！これを楽しみに仕事頑張ります！！更新される事を待っています(>_<) (2021年7月4日 3時) (
レス) id: 7855f798e1 (このIDを非表示/違反報告)
サンリオ(プロフ) - 更新されていて嬉しいです。ありがとうございます (2020年3月14日 16時) (レス) id: ff278406bf (このIDを非表示/違反報告)
ラピス(プロフ) - 初めまして。読ませて頂きました。確かにきっかけは何でもいいとおもいますよね。人を好きになるって力をくれますが…切なさとかもあったりして色んな感情を与えてくれたりしますよね。お話し楽しみにしてます。 (2020年3月14日 11時) (レス) id: a9f033db9b (このIDを非表示/違反報告)
Azuki(プロフ) - 初めまして。更新ありがとうございます！素敵なお話で楽しみにしていました。続きもとても気になります！応援しています。 (2020年2月27日 20時) (レス) id: 8005b02827 (このIDを非表示/違反報告)
わわ(プロフ) - みゆさん» コメントありがとうございます！！更新がんばります！ (2020年2月2日 21時) (レス) id: 1ed40d5049 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わわ | 作成日時：2020年1月25日 19時
