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街中を抜け、湾岸沿いの道を進む車
窓の外を流れるのはキラキラした高層ビルの明かり
いつもの東京の夜の景色が
まったく別物に見えるのは
左ハンドルの車が、わたしを右側の助手席に乗せるからって訳ではなくて
抑えきれなかった寂しさをそっと包み込んで
わたしを孤独な場所から颯爽と連れ出してくれた彼が
この見慣れた景色を特別なものにしてくれているんだと思う
きっと、わたしを乗せる運転手が"平野紫耀"だなんて知らず
たくさんの車がすれ違っていく
車内には落ち着いた洋楽が静かに流れるだけで
ハンドルを握る彼は何も話さなかった
なんで泣いていたのか理由を問いただす訳でもなく
安っぽい慰めの言葉もなく
ただ、静かに前を見据えていた
でもその沈黙は嫌じゃなくて
僅かな緊張はあるのに、彼の醸し出す空気に心が解けてゆくようで
なぜか…落ち着くから不思議だった
いく先も分からず
いつのまにか首都高に乗った車
スピードを上げていく車に合わせて、ギアレバーを切り替えていく彼の運転捌きは驚くほど絵になって
時折、前の車の眩しいライトに目を細め、真剣な面持ちでハンドルを握る彼に
気づけば目を奪われていた
夜は更けていって
どのくらい走っただろう…車もまばらになった高速を降りた
次第に街灯が少なくなる道をしばらく進み
ようやく彼が車を止めたのは
紫耀「到着。」
東京からは少し離れた街の外れにある
小さな高台
A「……綺麗」
紫耀「でしょ。ここ穴場なの」
小さな街灯が1つ灯るだけのこの場所は
澄んだ夜の空気と
東京じゃ見られない美しい星空が、目の前一面に広がっていた
深夜の高台には誰もいなくて
まるで、この世界にわたしたち2人だけだと
そんな馬鹿な錯覚を覚えるほどだった
彼はマスクも帽子も取り
小さなベンチに腰をかけるとわたしの方を見ながらその隣をぽんぽんと手で叩くから
わたしは彼の隣にそっと座った
紫耀「少しは落ち着いた？」
A「…うん。ありがとう」
優しく掠れた声が、夜の空に吸い込まれていく
紫耀「寒いでしょ」
おもむろに自分の上着をわたしの肩にかける彼
A「…えっ、ちょっ… 平野くんが…風邪ひいちゃうから」
紫耀「いいから。これくらいかっこつけさせてよ笑」
ベタな優しさも、そんな風に少し照れながらハニカム彼を見ると
自然に受け入れてしまう
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たむ - めちゃくちゃ面白くて引き込まれました！！これを楽しみに仕事頑張ります！！更新される事を待っています(>_<) (2021年7月4日 3時) (
レス) id: 7855f798e1 (このIDを非表示/違反報告)
サンリオ(プロフ) - 更新されていて嬉しいです。ありがとうございます (2020年3月14日 16時) (レス) id: ff278406bf (このIDを非表示/違反報告)
ラピス(プロフ) - 初めまして。読ませて頂きました。確かにきっかけは何でもいいとおもいますよね。人を好きになるって力をくれますが…切なさとかもあったりして色んな感情を与えてくれたりしますよね。お話し楽しみにしてます。 (2020年3月14日 11時) (レス) id: a9f033db9b (このIDを非表示/違反報告)
Azuki(プロフ) - 初めまして。更新ありがとうございます！素敵なお話で楽しみにしていました。続きもとても気になります！応援しています。 (2020年2月27日 20時) (レス) id: 8005b02827 (このIDを非表示/違反報告)
わわ(プロフ) - みゆさん» コメントありがとうございます！！更新がんばります！ (2020年2月2日 21時) (レス) id: 1ed40d5049 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わわ | 作成日時：2020年1月25日 19時
