14 一件の後 ページ14
Aside
あの一件の後。今まで感じていた違和感も無くなり、また自分の家で過ごすことになった。
不安の種は無くなったけど、正直...あのままとしみつと一緒に過ごしていたかった自分もいる。
...1人って結構寂しいし。
そんな事を考えながら、1人夜にちびちびとお酒を飲む。
当然酔えるわけ無くて、としみつのことをひたすら考える。
「ドラマみたいに何処ぞのスターが来てくれたりしないかなー...」
なんておとぎ話じみた独り言は、夜になっても静かにならない都会に消えていく。
自惚れてるなぁ、ほんと。
感傷的になるだなんて、似合わないよAA。
そんな私を見透かしたかのように、スマホのバイブ音が鳴る。
まぁ...大体予想がついてるけど。
「...やっぱり。」
スマホの液晶画面を見た瞬間、思わず頬が緩んだ。
«もしもし。どうしたの、としみつ。»
と«いやなんか、なんとなーくAが悲しんでそうだったから»
ほんとに、君って人は。
«エスパーかなんかか、君は»
と«え、まじ？もしかして当たっちゃった？俺の勘»
«うん、寂しかった。»
と«やけに素直じゃん？»
«うるさい、»
と«はは、ごめんごめん。...まだ時間かかるけどさ、覚悟、しといてよ。»
こういうところもほんと、ずるい。
«...わかった。楽しみにしてるよ»
と«ん、そうしてくれると助かる。»
と«んじゃ...ちょっとは元気出たっぽいし、切るぞ»
«うん。わざわざ夜にありがとう。嬉しかったよ»
と«...ふはっ、こんなん蛇の生殺しだな。»
«え、»
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作者名：ぬん。 | 作成日時：2022年5月4日 21時
