11 少しの油断 ページ11
Aside
としみつが出かけて行って十数分後…
ガチャ
あ、帰ってきた!!あ、待って鍵閉め忘れてた…としみつに叱られちゃうな、は
そんな事を考えながら玄関まで迎えに行く。
「としみつ!おかえ…り、?」
そこには、明らかにとしみつではない誰かが立っていた。
???「あぁ…A。やっと会えた…やっと、やっと」
「え、」
この声。何度も何度も聞いてきた、大っ嫌いな…元彼の声。
元彼「全く、鍵を閉め忘れるなんて不用心だなあAは。」
元彼「でも安心して?これからは僕がちゃぁんとAを守ってあげるから。」
「…ひっ」
元彼の手が頬に触れる。やめて、触らないで。そんな汚い手で私に触れないで。
そう思ったのも束の間。私は元彼にハンカチで口を抑えられ、
そこで私の意識は途絶えた。
…
「っ、?」
目が覚めると、知らない場所にいた。まあ、恐らく元彼の家だろう。
真っ暗な部屋におびただしい数の私の写真。どれもこれも、盗撮であろうものばかり。
こんな危機的状況に置かれているのに、至って心は平常だった。
体を動かそうとすると、
ガチャリ
と言う嫌な音がして、思うように動くことは出来なかった。
その音に気づいたのか、パソコンの液晶画面を見ていた元彼は
こちらにくるりと振り返った。
元彼「おはよう、A。」
「…」
元彼「そんな怖い顔で僕を見ないでよ笑 僕はAを愛してるのに。」
「なんでこんなことしたの」
元彼「そんなの、Aを救う為だよ。アイツから。」
お前なんかが、お前なんかがとしみつのことを悪く言うな。
お前なんかに…何がわかるって言うんだ。
「あの人をアイツだなんて呼ばないで。」
元彼「ああぁ…心までもアイツに毒されてるなんて…これは時間が掛かりそうだなあ」
「どういうこと、?」
元彼「僕が目を覚まさしてあげるから。ね?」
なんて言いながら元彼はこちらにじりじりと距離を詰めてくる。
としみつ、これ、やばいかもしれない。
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作者名:ぬん。 | 作成日時:2022年5月4日 21時