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廊下を進むと柱の影から姿を見せた緑川、
その顔には何とも形容し難い表情が浮かんでいる
「出来たか?話し合い」
「最初から話し合いではないけど、出来たか出来なかったかって言われたら決裂」
「だろうな…」
「久々に見た、あの顔」
「…あの顔って?」
「死にたいのか、って言いたそうな顔」
その一言で多分想像がついたんだろう。私の頭に手を置いた緑川の目は何かを堪えていた。
同じ、同じ、全てが同じだ、
降谷に言われた言葉、表情
緑川の瞳、私の今と、あの時、
+++++++++
警察学校を卒業し、それぞれ警察官として配属された年の6月だった。
特別大きな事件を経験したことのない私たちにとって、初とも言える凶悪事件の捜査。国外逃亡の恐れもある犯人は政府の内部情報を掴んでいる可能性があった。
「爆破の場所に繋がりはなし…ですか」
「捜査の撹乱が目的だろう、元々一課が単独で追ってた事件だが、状況が変わった。」
先輩の話を聞きながら情報を再度確認する。殺しに使用されたとされる拳銃は発見されていない為、高確率で現在も犯人が所持。爆発物の知識があり、その威力は非常に高い。20代後半の男2人組。
「場所が分からないんじゃ、処理班も動けないな」
「確かに…未然に防ぐのは難しいか。ただ今まで使用されたのものには時限装置が付いてない。犯人を捕らえれば…」
「勿論それが出来ればいいが、厳しいものがある。怯むなよ、それから無茶はするな、一応言っておく」
多分、この中で間違いなく無茶をすると判断された私と、暴走の素質が十分ある降谷に向かって言ったのだと思う。隣の緑川は苦笑いだった、心当たりがありそうな顔だ。
「今のところ、拳銃と爆弾以外使ってきてないってことは…それ以外の凶器が出てくる可能性は低いかな」
「言い切れはしないが、気を付けるべきなのがそこなのは確かだな。出国するとしたら間違いなく、ここだ」
降谷がカレンダーを指す。これでもかという程、人の集中する場所での犯行を繰り返す犯人。休日は空港も公道も混雑する。犯人の動きも制限される可能性が高いが、私たち警察が民間人を巻き込むことを恐れ、派手に動けないと考えているのならばおのずと日付は絞られる。
出国は防げるだろう。問題なのはそこに辿り着くまでの被害拡大を防ぐ手立てが見つからないこと。安全に出国出来ればそれでいい、きっとそんな感情はこの犯人たちにはない。好きなだけ殺して逃げ切るつもりだ。
させるか、そんなこと。
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作者名:真琴 | 作成日時:2018年4月20日 23時