【WT】New world【短編集】

キヲク。2 ページ14

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家に着き、かばんから鍵を出す

金属のそれを差し込んで、左にひねる。この動作は生まれてから何回しただろう。そんなどうでもいいことが頭をよぎってすぐ消えた。


階段を上って自分の部屋に入る。それからクローゼットを開けて、ハンガーに制服をかける。…これも今まで何回やっただろうか。と思ったけど、やっぱりすぐに消えた。


……あー、なんか今日は冷える。上着上着……あれ？このカーディガンまだあったんだ。

いや、そんなに古くもないけど。最後に着たのは…2年前くらい？これでいいや。


手に取ったそれをとりあえず着てベッドに寝る気満々で倒れ込む。





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＿＿＿ガチャ

玄関のドアが開く音と母さんのただいまーという声で目が覚めた。30分も寝れなかったじゃん……


「…うるさい……」


昔からこうだ。誰かの話し声や足音でもすぐに目が覚めてしまう。ちょっとは音を出さないように努力してよ………ん？




＿＿＿本当に昔からそうだったっけ…？

…うん、そうだよ、よく覚えてる



＿＿＿いや、小さい頃は誰かが来ても眠っていた

…ううん、そんなことはない、そんな訳ない



＿＿＿急に耳が良くなったのは、最近のような気がする

…これは生まれつきのはず



記憶と記憶がすれ違って気持ち悪い。
なんで急にこんなことに…。







「＿＿＿どの記憶が、本物なの」



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