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ーーーAーーー



その日に家に帰ると、楓士雄がずさーっと廊下で正座して、私を待ちわびていた。





「まじすんませんっ!!!!」



頭を下げて必死に謝る楓士雄。




まぁ、テッツさん達にはそこまで迷惑かけなかったし



今日は許してあげるか。






『…一週間掃除当番ね。』



そう言ってそのまま通り過ぎると、


楓士雄は飛び上がって、背筋を伸ばし、

新入社員みたいに深々と頭を下げた。





「っっ!!!やらして頂きやすっ!!」






楓士雄と住んで結構経つ。




たまに、あれ…っと思うことはあるけど、



基本的には家族のように接せれている。








村山が卒業してから、


週1回くらいは連絡が来ていた。



〜〜

「あ、連絡は俺からしかしちゃだめね。」


『え、なんで?』


「…会いに行きたくなるからさ。」

〜〜




念を押され、結局約束させられた。



私はあくまで待ち人。



ドキッとすること言われたり、

近況を話したり、それだけでも嬉しかった。



携帯が鳴るたび、心が躍っていた。






村山は旅を終え、仕事に復帰したらしい。


その頃からだんだんと連絡が来なくなった。




今となってはもう2ヶ月も話してない。




定時の中林曰く、家にもたまにしか帰ってないそうだ。




"迎えに行くから。"




そう言ったはずなのに。




あたしが卒業する頃には、

村山のことなんてもう忘れてるかもしれない。






私はそのまま自分の部屋に直行した。





山王街にしょっちゅう行ってるんだ。



押上…



会ったりしてんのかな。



あたしは卒業してから一回も顔見れてないのに。






私は鳴らない携帯を脇にポンと投げ、バフッと布団に倒れ込む。









こんな心が痛くなってんのに。


待っててなんて酷すぎる。





村山なんてもう知らない。






布団を頭までかぶると、トントンとノックする音が聞こえた。







「A…、どうした?」




楓士雄がまた、揺れる心に入り込んでくる。




…なんでいつもこういう時に声かけるの。





「…入るぞ?」







私は布団の中に隠れ、グイッと背中を向けた。




「…おい。」




楓士雄はミノムシになった私の横に、すっと腰をかけた。



ポンポンと上から手を置かれ、私はさらに布団を引っ張る。





「なんだ?まだ怒ってんのか?」





違う。



違うから。



早く出てけっ

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ななし(プロフ) - ありがとうございます。構想を練りながらなので、更新遅いですが、51話から公開しました。 (2020年2月20日 2時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーねんず(プロフ) - 凄くおもしろいです!!続きが気になります、、パスワード教えてほしいです! (2020年2月20日 0時) (レス) id: 695e2d496c (このIDを非表示/違反報告)
ネコ.K - 続き気になります!((o(´∀`)o))ワクワク パスワード教えてください!! (2020年2月18日 7時) (レス) id: bf25cdc74b (このIDを非表示/違反報告)
ひろちゃん(プロフ) - このお話大好きです!続きが読みたいのでパスワード教えてください☆ (2020年2月16日 15時) (レス) id: ed54dab455 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - 皆さま、コメントありがとうございます(ToT)こんなに更新が遅いのに、作品を読んでくださってとても嬉しいです。なんとか、完結を迎えるよう頑張ります! (2020年2月15日 2時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ななし | 作成日時:2020年1月9日 0時

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