Give me Biscuits!

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「話戻すけどさ、身長の話。そんな伸びんでもええんちゃうん？」



前々から思っていたことを口にすれば、手のひらに柔らかいものが当たった。
唇を突き出すのは、言い淀んでいるときの癖。
しばらく考え込みそうなので、手のひらを押し当ててふにふにとした唇の感触を楽しんでいたら、さすがに腕を掴まれた。

ごめんごめん。
なに楽しんでるねん。
やわくて気持ちいから。
小っ恥ずかしい感想はいりません。

て、そんなやり取り。ゆるいなぁ。



「てか身長の話な。大吾も嬉しいやろ？」



え？なぜ？Why？



「スラーっと綺麗な感じ、好きちゃうっけ？」


「どこ情報？」



多分、今、二人してまぬけな顔をしている。



「や、なんとなくやけど。大和さんとかめっちゃ褒めるやん。」



なんじゃそりゃ。
予想外すぎて、とっさに上手く説明する言葉が出てこなかった。



「それは、なんか、彼女に求めるんとは別ちゃう？」


「別とは？」


「んー、Aが正門君のヒゲええな、て言うのと近い。」



さすが俺の彼女。
こんな解答でもしっくり来たらしい。
目から鱗です、と言わんばかりに、キラキラした視線を向けられた。
そらそうや。
カメラの回ってる所で言う言葉は、嘘ではないけど、あくまでアイドル西畑の言葉であって、今みたいにソファでだらしない顔をする西畑の本音ではない。
キラキラしていない時の西畑は、彼女より身長が低かったら、それだけでちょっと自信を失くすくらいに弱っちい。



「Aが大きくなったら困るわ。」



そうこぼすと、下から白い手のひらが近づいてきて、俺の両頬にぺちりと張り付いた。



「大吾はちっちゃくてもかっこいい。」



あー、そんなん。



「Aもちっちゃくてもかっこいいし可愛い。」



額に散らばる前髪をよかして、丸いおでこにキスをする。
鼻先が当たって、喉の奥でくつくつと小さく笑い合う。こういう所でリズムが合うのが、心地よい。
だから、
そのままで隣におってくださいーという願いを込めて、もう一度キスを。





(てか待って、さっき、正門のこと君付けで呼んでもた。やばい、ゾワってする。)
(そんなん言うて仲良しのくせに。)
.

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