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今日も今日とて君に片思い(西畑) ページ48

1/1 (メンバー/「中距離恋愛」西畑side)





「あかんほんま鈍すぎる。」



雪崩れ込むようにしてソファに座ったら、俺とAの肩がぶつかった。
けど、それをごめんと謝る必要もない。
そんな距離感でずっと一緒にいたもんだから、知らない内に、スキンシップとか「好き」って言葉とか、いろんなものが切り札じゃなくなった。

以前、珍しくAの恋愛話になったことがある。
はっすんや流星がきゃっきゃと囃し立てる中、かたくなに相手の名前を言わないAを見て、本気なんやと思った。
だから、「ほんなら大ちゃんも言いや」って、ふいに投げられたAからのパスを上手くいなせず、かといって嘘もつけず。



「昔から俺のこと見てくれてる子。」



などと、中途半端な返事をして、そこから進展なく今日に至る。
あの後、はっすんには「大ちゃんもアホやなぁ」って慰められた。自分でもそう思う。全部言ってしまえば良かった。

だから、今だって。
誰なん？と一言聞いてくれれば、すぐにでも答えるのに。そんな気持ちでAに恋バナをする俺、かっこわるー。
凹みながら隣にいるお鈍な女の子の顔を見ると、上の空で俺の恋愛になど興味なさげにするから余計に寂しい。



「なぁ〜聞いてる？」


「聞いてる聞いてる。いい加減耳タコやけど、同期のよしみで聞かせていただいてますよー。」


「人が初心なラブで悩んでんのに、その言い草はないわ〜。」


「25超えて初心とか言うてる場合ちゃうで。」


「おい！それはデビューシングルに対する批判か？！」


「いや、歌はめっちゃ好き！」



歌は、てなんやねん。
俺はあんたのことが好きなんよ。
…て、なぁ〜言うてもたらええんやけど。
いつまで小出しの愛を見せ続けるのだろう。



「てかなー、そんだけ気付かれへんってもう脈なしかもしれへんで？」



少し胸が痛んだ。
Aが俺を嫌い、と言ったわけではないけれど、もしそうだったらと思うと辛い。
しかし、いつも屈託のない笑顔でそんなことを言う小悪魔は、うっとうしいとは言いたげだが、



「んー大丈夫！嫌われてへんし！」



なぜか勝ち誇ったような気持ちになって、笑顔でそう返したら、




「救いようなくベタ惚れやん。」



やって。



「俺は一途やで〜。」



ごめん、お願い、はよ気付いて。





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