Give me Biscuits!

ゆびきりした(大西r) ページ17

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「りゅせ見てー」



そう言ってAちゃんに呼ばれる時は、大抵しょうもない。
日刊の写真を加工する手を止めて、目線を上げると、体操服姿のAちゃんが小道具のレースカーテンを頭から斜めに巻きつけて、死んだ目をしていた。



「何それ、前衛的なアート？」



相変わらず意味の分からないことをする。
Aちゃんのこういうとこは、緩んだ時の大ちゃんと似ている。思いついたことを思いついたまま表に出して、子どもみたいに無邪気だ。



「林くんのアレやん！」



林くんの、アレ。
つまり、
僕が最近務めたドラマの役の、緑のネットに絡まりながら借り物競争に借り出されるシーンの「かわいい」姿、だと。



「かわいい？」


「かわいい、かわいい。」



2回続けて言うんは本心じゃないってテレビでやってた！とAちゃんが抗議の声をあげている。
無視するけど。



林役、面白かったな。
数ヶ月前の撮影現場を思い出す。
初めての単独主演で、不安がなかったと言えば嘘になる。
演技自体はもちろんだけど、同年代のキャストがたくさんいる中で、どう雰囲気を作ったらいいのか、と。

ジャニーズに所属して、ありがたいことに小さい頃から幅広い年代の方とお仕事させてもらってきて、気付いたこと。
なんだかんだ同年代との接し方が一番悩む。
先輩ならかわいがってもらえばいいし、後輩ならかわいがればいいけど、同年代は、相手が望んでいる方を見極めなきゃいけないから。

どうしたものかと悩む僕とは反対に、いただいた役の林は、

"かわいいのに、かわいがられれない
かわいがらないのに、したわれる"。

謎が多くて、コミュニケーションにおかしなところはたくさんあるのに、皆にとって気になる存在で、なんか上手いこと周囲と関われてしまう。

これ、Aちゃんやん。



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