明日、世界が終わるとして ページ6
.
大丈夫だよ、矢花
すべてのものはやがて終わる。
.
そう思いながら月が照らす世界を端から端まで見つめる。
こんなホテルに泊まるのはいつぶりだろうか
小学生の頃に行ったハワイ旅行まで遡るかもしれない
絵画に詳しくはないけど、こんな絵があったら高くはないだろうな…
普通の夜景。綺麗だけど、綺麗すぎる。
.
俺の知っている世界は、こんなに愛せるものじゃない
.
「…、愛したかったな」
白「…」
ソファの下で小さくなった矢花はじっとコップを見つめていた。
「ねぇ、矢花?」
名前を呼べば初めて頭を動かして、ゆっくりこっちを向く。
長い前髪のせいでよくは見えないけど泣いているような顔をしていた。
「お前だけだよ」
俺が愛せたものは。
ありふれた曲が、ありふれた小説がいうように、
僕が愛した君が愛した僕を愛す
そんなことが出来るなら教えてよ。
.
矢花、
俺のこと愛してる?
.
白「、ふふ…」
「何笑ってんの」
白「幸せだなぁ…って思って、」
「…」
白「人間って死ぬときはひとりなんだよ」
そう言って残っていた水を飲み干す。
俺は矢花に体を向けたまま頭は何処かへ行ってしまったようだった。
“ひとり”
そう言った矢花の声が何度も何度も俺の心を刺す
87人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アイバ | 作成日時:2022年1月22日 21時