隙あらば…by鳥谷 ページ42
広島遠征で、久々に貴浩さんが現れた。
挨拶だけと言ってたが、結局はA目当て。
病院送りにしかねないあれを見た瞬間、ボールを投げつけてやろうってマジで思った。
…が、気配を察知した剛に全力で止められて出来ずじまい。
あとで話を聞いたら、Aのファンクラブが存在するらしい。
もちろん、非公認だが。
誰が作ったとか、どういう活動なのかとか、全部聞こうと思ったのに、貴浩さんは1つも教えてくれなかった。
…強情な人だな。
◆◇◆
「鳥谷さん!聞いてますか?!」
上「…ん、ゴメン。何だって?」
「もー!だから、どうしたら、脇腹を鍛えられるんですか?」
甲子園に戻って来て数日。
ようやくAと2人きりになれた。
Aも俺も今日の仕事が終わって、室内練習場にいる。
Aはパピー対策の体幹トレーニング中で、バランスボールに乗って、あちこちに動いてる。
俺はそれを見ながら、座ってクールダウン中。
鳥「貴浩さんの攻撃で、そう思ったのか?」
「そうなんです!」
Aは着替えてなくて、昼間会った時と一緒のスカートのまま。
下着が見えたり見えなかったりで、ちょっと得した気分になってる。
俺はむっつりではないが、剛ほどオープンでもない。
今は、自然と見えてしまう状況に置かれてるだけで、ただの不可抗力だ。
鳥「感覚を鍛えるしかない」
Aは、ただでさえ敏感な娘。
ちょっと触れただけで、声は上げるし、身体もよじる。
「やっぱりですか…」
今更、感覚を鍛えようにも遅すぎるし、鍛えたらこっちの楽しみも無くなる。
鳥「それぐらいで、落ち込まなくてもいいだろ」
「だっ…わっ!」
Aはバランスを崩して、背中から地面に落ちた。
――ばたんっ!――
鳥「大丈夫か?!」
「大丈夫です…」
バランスボールを退けると、文字通りの大の字になっているAが現れた。
「もーっ。《こちょこちょ》から離れられない運命なんですよ。一生ついてくるんですよ?」
鳥「大げさだな」
「他人事だと思ってからに…」
Aは寝転んだままで、脚もスカートも広げっぱなし。
こういう隙があるから、《こちょこちょ》とか抱き締めとかされるんだ。
鳥「考えすぎ。みんながやるワケじゃない」
そもそもAは、気付いていない。
感覚以前の問題だってことに。
「そうですけど…って、どうしたんですか?」
だからこうして、君に覆いかぶさることも、この小さな空間に閉じ込めてしまうことも、簡単に出来てしまう。
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Quintet(プロフ) - ゆかさん» コメント、ありがとうございます。あちゃー、私のルーティンがバレてしまいましたね(笑)。あともう半日、あと数時間を過ごす一息になればと思っています。これからも、よろしくお願いします。 (2016年10月14日 16時) (レス) id: 7f540aaaaf (このIDを非表示/違反報告)
ゆか - 毎日更新されるのが楽しみです! 毎日4時過ぎにこのお話更新されているか見てしまいます。笑 これからの楽しみにしています! (2016年10月12日 15時) (レス) id: c3eab76729 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Quintet | 作成日時:2016年10月4日 15時