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名前で呼んで!by良太 ページ38

グラウンドで練習をしとったら、珍しゅう兄貴がやってきた。
監督やコーチ、親しい人らと話しして、弄られまくって、一番最後の最後にわしのトコに来る。

良「何や、珍しいな」
貴「陣中見舞いや」
良「相変わらず、上からの物言いやな」

兄貴は、わしが持っとったバットに肩と腕に通して、身体をねじる。
その姿は、まるでかかしじゃ。

良「…で、何やっとんの?」
貴「Aちゃん、来とらんのか?」
良「兄貴もか」

陣中見舞は、他への口実か。
そりゃあ正直に言うたら、監督やら篤史さんあたりにシバかれそうじゃけぇな。

貴「こんな機会は滅多にないから、会えるときに会っとこうと思うんが普通やろ」
良「分かったから、帰れ」
貴「イヤやし」

兄貴を追い払おうとするが、ぶち粘り強い。
わしゃ、かかしを地面に深う突き刺した覚えはない。

「新井さん!」

こがいな時に限って、Aちゃんの声が聞こえてくる。

「「何じゃ?」」

苗字を呼ばれたけぇ2人で振り向くと、Aちゃんが1歩引いた。

「えぇっ?!新井さんが2人?!」
貴「この娘が、噂のAちゃんか!実物は初めてや!」

兄貴はバットを捨て置いて、ふらりと来たAちゃんを強引に抱き締めた。

「ぎゃぁああ!」

Aちゃんは悲鳴を上げて、限界を訴えとる。
それを兄貴はどう思うたんか、まだ力を入れて抱き締めとる。
じゃけぇ、わしが割り込んで、Aちゃんを救出した。

良「大丈夫か?!」
「一瞬、真っ白な世界が…」
貴「すまん。つい力が入ってしまったわ」
良「限度があるやろうが!」

一方Aちゃんは、息を整えてわしらを見る。

「で、新井さん」
「「何じゃ?」」
「あうちっ!」

Aちゃんは、自分のでこに手を当て、顔をしかめた。
…あぁ、なんて可愛い姿。

「新井さんが2人もいるなんて想定外です…」
貴「呼び方を変えれば良いだけやろ」
「…あぁ、そうですね!じゃあ、貴浩さんと《新井さん》にします!」

笑顔のAちゃんが、憎らしい。
何で兄貴は下の名前で、わしが苗字なんじゃ。

貴「ええやろー?」

とてつものうイラつく。

良「何でそうなる?」
「はい?何かご不満ですか?」
良「ああ。わしのことも、兄貴みたいに下で呼んでくれよ」
「じゃあ…お兄さんと《新井さん》で」
良「何で!?」

何で、わしの呼び方は変わらん?!

貴「おもろいなぁ。良太は、いつでも《新井さん》か!」

笑う兄貴は、わしの背中をバシバシ叩いてくる。
めちゃくちゃ痛いわ。

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Quintet(プロフ) - ゆかさん» コメント、ありがとうございます。あちゃー、私のルーティンがバレてしまいましたね(笑)。あともう半日、あと数時間を過ごす一息になればと思っています。これからも、よろしくお願いします。 (2016年10月14日 16時) (レス) id: 7f540aaaaf (このIDを非表示/違反報告)
ゆか - 毎日更新されるのが楽しみです! 毎日4時過ぎにこのお話更新されているか見てしまいます。笑 これからの楽しみにしています! (2016年10月12日 15時) (レス) id: c3eab76729 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Quintet | 作成日時:2016年10月4日 15時

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