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「Aちゃん?」


「すみません」と落ち着いて顔を上げると、バラム先生は穏やかな顔をしていた。


「あれ?雰囲気が変わったね」

「メイクしてみたんです」

「そう、可愛いよ。それに、とってもいい匂い」


大人っぽくしたかったんだけどな〜ま、いっか

クンクンと嗅ぐ姿が可愛くて、手首をバラム先生の顔の近くに持っていった。


「香水ですよ」

「へぇ〜」


バラム先生は、私の手首に鼻先を近付けたり、ひっくり返して手の甲を嗅いだり触ったりしていた。


あ……

そう、触れていた。

腕のほうまでそれをされて、くすぐったかったけれど

そのまま暫くされるがままにしてた。


耳のイヤリングに気付いた先生は、チョンと突いてみたり揺れるのと一緒に顔を動かしたりして

大人なのに、子供みたいな反応で癒される。


誘惑しに来たのに、これじゃまるで逆だな〜

なんて微笑ましく見ていた。


「あ、僕、触って…」


そう呟いた彼に


「少しは慣れてもらえましたか?」


笑いかけて言えば、


「……Aちゃん、キミに見せたいものがあるんだ」


マスクをカチンと外して、露わになったのは、むき出しの牙


「僕の牙は獰猛でね。
それ自体は魔界じゃ珍しくないことだけど、昔に遭った事故で牙が剥き出しになってしまって…」

「そう、ですか」

「ごめんね、Aちゃん」

「え?ちょっとビックリはしましたけど、謝る事なんて…」

「いや、そうじゃないんだ」


またマスクをはめた先生は


「僕は生き物が大好きなのに脅えて逃げちゃうんだ。だから隙さえあればつい触り尽くす癖がついてしまった。

なのに、僕、Aちゃんに同じ事していたよね。

それにAちゃんは、コレを見ても脅えたり逃げたりしなかったのに

だから…」


「ごめんね」と


この悪魔(ひと)は、どこまで優しいんだろう

でも、


「先生、私、そんなんじゃないです。
すごく見た目で判断してて、自分でもダメだなって…」


ぽつりと零せば、バラム先生は


「何を言ってるんだい?
キミは貴重でか弱い存在なんだから、その感覚は君自身を守ることに役立つよ。
そのくらい警戒心を持ってなきゃ」


そう言って、大きな手で頭を撫でてくれた。

その手がとっても温かくて…

お父さんって、こんな感じなのかな?

心地良くて、ゆっくり目を閉じてそのぬくもりだけを感じていた。

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雪猫 - あー!!もうきゅんきゅんがたまりません!更新頑張って下さい!応援してます! (2020年5月10日 1時) (レス) id: 07da1e2227 (このIDを非表示/違反報告)
畢竟無(プロフ) - えギー先生は夢主ちゃんの気持ちに早く気づいてあげてwwwwオペラさんは自重してwwwww面白かったです!応援してます! (2020年5月9日 14時) (レス) id: f1eda83896 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:周杜(シュウト) | 作成日時:2020年5月6日 13時

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