君と 3

目が点(side N) ページ8

“好きにならずにいられない”



まさに今の俺の想いそのもの。



みおに聴いてほしくて控えめに口ずさんでみたのに、まさか彼女も一緒に歌い始めるなんて。



まぁ、みおらしいというか。



やっぱみおと一緒に歌うのは楽しい。
音楽そのものを、何も考えずに楽しめる。
感じられる。
それは再会した時から変わらない。



みおがきっと、そうやって音楽を楽しんでるんだな。
俺はそんな君に惚れたんだ。
あの時、夏色を一緒に歌った時から。



『本当にロマンチックな曲だね』



曲が終わるとそうつぶやいたみお。



さっきまでの恥ずかしそうな表情はそこには無くて、すっかり音楽を楽しんでいる、子どものような無垢な笑顔。



まだ手を繋いだままだってこと、わかってる？



『西島君、あのね、』



「ん？ なぁに？」



『Butterflyの練習したい。今から。だめかな』



目が点になるって、こういうことだ。



まじで？
今のこの雰囲気でそうくる？
俺の告白は？



「えっと、かまわないけど…もう遅いよ？」



時計を見ればもうすぐ22時だ。
いいのか？
本当に。



香織たちの結婚式まで1週間しかないし、歌ってたら練習したくなった、なんて言うみお。



敵わないな、本当に。



「ん、わかった。場所探す」



『本当!? ありがとう！』



無邪気に喜でるけど、俺の告白忘れてない？って言いたいのはひとまず我慢。



まぁ、いいか。
焦って返事を迫って断られても嫌だし。
お預けだな。



いいよ、今はまだこのままで。
一緒にいられるなら。

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