シンプルな感情 ページ50
あ…
違う。
そうじゃない。
もうっ私のばか。
ほんと、自分の気持ちばかり。
「違うの。ごめんなさい。信用できないんじゃない」
『じゃぁどうして迷うの?』
西島君は私をそっと離し、私と視線を合わせた。
彼の瞳には、明らかに不安の色。
左手の指先に感じる、彼の温もり。
彼の癖。
ばかばか。
西島君にこんな想いをさせるなんて。
「自分に自信が持てなくて…。なのに西島君にどんどん惹かれていくから、自分が自分じゃなくなるみたい」
『みおは考えすぎだよ。もっとシンプルに、感情に素直になっていいんだよ。歌ってる時みたいに』
「自分を見失いそう」
『俺は嬉しい。それくらい俺に惚れてくれたら。要は、一緒にいたいかどうか。それだけだよ』
ふわっと優しい笑顔を見せてくれる西島君。
私もつられて顔がほぐれる。
『確かに俺といると我慢させること、多いと思う。一緒にいる時間は限られるし、2人でデートなんて、難しいと思う。でも、そばにいてほしい。たくさん大事にするから』
「ん…ありがと」
泣きそう…
もうその気持ちだけで十分だよ。
『だから、みおは余計なこと考えないで、俺に大事にされてればいいから』
再び抱き寄せられて、西島君の甘い香りと温もりに包まれた。
こんなこと、初めて言われた…
「ふふふっ」
『…なに笑ってんだよ』
「なんでもない。ふふっ」
もうやだ。にやにやしちゃう。
『おい、みお。顔みせろ』
「やだっ」
体を離そうとする西島君にしがみついた。
『あっそ、じゃぁこうする』
「うわぁっ」
あっという間に西島君に抱きかかえられて、見下ろされてる。
余裕そうな笑み。
くやしいな。
『ふっ、顔真っ赤』
「うるさい」
『さ、寝室行こ。おとなしく大事にされててね。俺のかわいいネコちゃん』
「えっちょっと、今から!?」
もう日付変わってる。
『当たり前』
「待って待って、せめてシャワー…」
『だめ』
うっ、でもやっぱりこれは譲れない。
「私のこと、大事にしてくれるんでしょ?」
西島君を見つめて言ってみたら、彼の瞳が揺れた。
もう一押し。
「お願い」
『みお、それズルい…』
西島君はそう言って、私をそっと降ろしてくれた。
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さら(プロフ) - 恋葉さん» コメントをありがとうございます。完全自己満な作品に感想をもらえて嬉しいです。その曲知らなかったので聴いてみました。いかようにも解釈できる、想像膨らむ歌詞ですね。好きなシーンを伝えてもらえて最高にハッピーです。読んでくれて感謝です。 (2020年4月24日 3時) (レス) id: 9f1002156f (このIDを非表示/違反報告)
恋葉 - 楽しませていただいております!!!個人的には7ページのチョコレートの話、Da-iCEのチョコレートシンパシーに似ててすっごい好きです(*´∇`*) (2020年4月23日 19時) (レス) id: 35a567dc92 (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - てんさん» コメントをありがとうございます。楽しみにしてもらえるって嬉しいですね。これからもニッシーの恋の行方を見守って下さい。 (2019年5月9日 1時) (レス) id: 012c2a9612 (このIDを非表示/違反報告)
てん - いつも楽しみにしてます!この物語のにっしーが好きすぎます(*´ω`*) (2019年5月8日 11時) (レス) id: 3758975c70 (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - 憂さん» コメントをありがとうございます。とっても励みになります。楽しんでもらえてよかったです。 (2019年4月25日 3時) (レス) id: 012c2a9612 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さら | 作成日時:2019年4月17日 4時