君と 3

感想(side N) ページ46

どんな感想が聞けるだろう。



単純に、好きな子に自分の作品をいいねって言ってもらえたら、すごく嬉しい。


普段はクラシック音楽を聴くことが多いみお。
そんな彼女が俺の作品をどう思うのか、とても興味がある。



パソコンの画面に見入るみおの表情を観察した。



初めは、俺の作品がCDじゃないことに不思議そうな顔をしていたみお。



そのうちに瞳がキラキラと輝き、みおが曲の世界に入っているのがわかった。



クスクスと笑ったり、体でリズムを刻んだり。
曲が終わる頃には、メロディを口ずさんでいた。




『どうだった？ “どうしようか？”』



宇野に聞かれたみおは、俺をチラッとうかがった。



「いいよ、俺のことは気にしないで。素直な感想が聞きたい」



かっこつけてそう言ってはみたものの、内心すげぇどきどきしてるわ、俺。



『なんだか…あっという間に終わっちゃって、よくわからないけど、おもしろい。もう1回観る』



みおは真面目な顔でそう言うと、再びパソコンの画面に向かった。



今度は映像を観ながら、ぶつぶつと話しだした。
両隣の日高と宇野に言ってるのか、ひとり言なのかわからない。



このハットにスーツの人は何者？ とか。
ダンスがかっこいい、とか。
ミュージカルなの？ 映画なの？ とか。



思ったことをそのまま言葉にしてる感じだ。



そのうちこの歌い方が素敵とか、
歌詞についてもあれこれ。



そして最後、少しの間の後



『これ…西島君が作ったの？』



「そう。知り合いの音楽家と一緒に作った。初めての俺の、ソロとしての曲」



『惚れ直した？ みおちゃん』



日高がにやっと笑って聞いた。



『うん…かっこいい。どうしよう。私、Nissyのファンになっちゃった』



みおがほわんとした顔で俺を見るから、恥ずかしくなる。
顔が熱くなっていくのがわかるくらい、一気に体温が上がった。



『ニッシー照れてる。ファンになっちゃったって。Nissyの』



「うるせ」



『これは前から思っていたんだけど…、西島君が歌う女性目線の歌詞の曲、聴いてみたい。女性の気持ちをつづった歌。声が、繊細なのに力強くて、特に高音が突き抜けるように耳に届くから、絶対に素敵』



そうきたか。



俺が日高に目配せをすると



『嘘、あるの？聴きたい…』



みおの瞳がより一層、輝いた。

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