もっと ページ27
ドキドキが、
さらに加速してる。
この感じは、やっぱりだめ。
これ以上西島君と一緒にいちゃだめだ。
今日の私は、彼に流されない自信が無い。
『ぷっ、みお、すっげぇ困ったカオしてる』
西島君が急に笑いだした。
何よ、人の気も知らないで…
『みおが思ってること、当ててあげる。早く会場に戻りたいって思ってるでしょ？』
ニィっと笑ってる。
何でそんなに余裕なのよ。
私1人でバカみたい。
「もうっ、わかってるなら早く戻ろう」
『はいはい、じゃぁ行こうか』
西島君は私と手を繋いだまま立ち上がり、いつものようにゆっくりと立たせてくれた。
扉の前まで来た時、
『歌ってる時、涙、堪えてたね』
「うん、なんとか。最後まで歌えて良かった。やっぱり西島君は気づいてたんだね」
泣いたら歌えなくなってしまうから、必死で堪えてた。
『わかるよ。みおの事なら大体は』
「ふふっ、確かにそうかも。西島君て人の事よく見てるよね」
よく観察してるっていうのかなぁ。
すごいよね。
前から思ってたけど。
『今、みおが考えてることもわかるよ』
「本当？」
『早く俺に抱きしめてほしいって思ってる』
……
「そんなことっ」
思ってない！
いたずらっ子のように笑ってまた私をからかうから、彼の胸を思いっきり叩こうとしたのに。
『ごめん、違う』
次の瞬間、
とても強い力で、
『俺が、早く抱きしめたかった』
彼の腕の中に閉じ込められた。
優しくて、甘い香り。
身動きがとれない程、強い力。
『みお…』
耳元で囁かれる、
“愛おしい”
そう言われてると錯覚しちゃうくらい、甘くて切ない声。
キュンって、胸が疼く。
離れたくない。
離さないで。
もっと、
もっと私の名前を呼んで。
私も、あなたを抱きしめたいって思ってた。
涙を浮かべる横顔を見た時から。
震える歌声を隣で聞いた時も。
私と歌えて幸せだと言葉にしてくれた今も。
『みお』
私が背中に腕をまわすと、西島君は私の首元に顔を埋め、再び私の名前を呼んだ。
その甘く私を求める声に、じわじわと私の視界が滲んでいき、とめどなく涙が溢れた。
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さら(プロフ) - 恋葉さん» コメントをありがとうございます。完全自己満な作品に感想をもらえて嬉しいです。その曲知らなかったので聴いてみました。いかようにも解釈できる、想像膨らむ歌詞ですね。好きなシーンを伝えてもらえて最高にハッピーです。読んでくれて感謝です。 (2020年4月24日 3時) (
レス) id: 9f1002156f (このIDを非表示/違反報告)
恋葉 - 楽しませていただいております！！！個人的には7ページのチョコレートの話、Da-iCEのチョコレートシンパシーに似ててすっごい好きです(*´∇｀*) (2020年4月23日 19時) (レス) id: 35a567dc92 (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - てんさん» コメントをありがとうございます。楽しみにしてもらえるって嬉しいですね。これからもニッシーの恋の行方を見守って下さい。 (2019年5月9日 1時) (レス) id: 012c2a9612 (このIDを非表示/違反報告)
てん - いつも楽しみにしてます！この物語のにっしーが好きすぎます(*´ω｀*) (2019年5月8日 11時) (レス) id: 3758975c70 (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - 憂さん» コメントをありがとうございます。とっても励みになります。楽しんでもらえてよかったです。 (2019年4月25日 3時) (レス) id: 012c2a9612 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さら | 作成日時：2019年4月17日 4時
