君と 3

世界一の男(side N) ページ19

友達の結婚式でこんなに感激するのは、初めてかもしれない。
それくらい、佑一郎と香織の結婚は感慨深い。



シルバーのタキシードをビシッときめて、祭壇の前に立つ佑一郎は、これまでのどんなあいつより、かっこいい。



たぶん、すげぇ緊張してる。
たった1人の大切な女性の人生を託されようとしてるんだ。
緊張しないわけがない。



あいつの覚悟を思うと、俺も胸が熱くなる。



佑一郎と香織は俺が心を許せる数少ない友人。
2人がいなかったら、俺はとっくに北海道へ帰っていたかもしれない。
苦しくてつらい時、お互い励まし合ってきたから。



時に信じていた友人から裏切られたことや、妬まれたこともあったけど、佑一郎と香織は絶対にそんなことは無かった。
自然体で接してくれる、信頼できる2人だ。



2人にはありがとうを何度伝えても、伝えきれない。
だから今日は、歌で気持ちを伝えさせてもらおう。



佑一郎が表情を引き締めた。



香織を託され、深々と香織のお父さんに頭を下げるあいつは、なんていい男なんだろう。



俺の目頭も熱くなってきた。



あぁ、良いな、結婚式。
バージンロードを歩く佑一郎と香織は本当に幸せそうだ。



温かい拍手と歓声を浴びて、笑顔を返す2人。



幸せになってほしい。
心から願ってるよ。









「やっぱり泣いてる」



新婦側の参列者席にみおの姿。
ハンカチで涙を何度も拭ってるけど、追いついてない。



感無量って感じだな。



みおも、佑一郎と香織のこれまでを知ってるんだろう。
俺以上に香織の一途な想いを理解してるはず。
みおは香織が大好きだからな。



あーもう、今すぐ側に行って、その涙を拭ってあげたい。



あ…笑った。



前を通る香織に声をかけられ、恥ずかしそうな笑顔を見せるみお。



その笑顔に、俺も顔がほころぶ。



よかった。
みおがあんな風に笑って佑一郎と香織を祝福できて。

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