エピソード66 "あいつ" ページ25
・
ぞわぞわする。
今までに感じたことの無いこの感じ。
心臓の動きが早い。
息も荒くなる。
ものすごく嫌な予感だ。
体がどこかに走りたがってる
ナミ「ちょっとパル！あんたも…パル？」
「悪い、ナミ。
ここは任せていいか」
ナミの返事も聞かずにものすごいスピードで走っていく
(いる…あいつが…
いるッ！！)
.
早い
体を巡る血の速度が足を止めさせてくれない
苦しい。体が重い。
ぶつかり続ける人混みを避け体が進むままに走る
そんなパルの背後で大きな鳥が空高く舞い上がって行った
.
「待てよ！！おやじ！！！！！」
着いたのは時計台からずっと離れた海岸
パルは出発したばかりの1隻に向かって叫ぶ
姿はいつの間にか人の姿に戻っている
『よォ。パル
でかくなったな』
逆光でハッキリと顔が見えないが微笑んでいるのが分かる
「逃げんのかよ！
今も！！あの時も！！」
『今じゃないだけだ』
(今じゃない？今じゃないってなんだよっ)
『だってお前、まだ"弱い"だろ？』
頭に響く嫌いな奴の声
重くのしかかるその言葉がパルの思考を止める
『そうだ、お前にスイッチを入れてやろう。』
不気味に笑う男はパルに銃口を向けた
『強くなって帰ってこい！パル！！
待ってるぞ』
辺りに響く乾いた音
どんどん遠のいていく船を睨みつけたままパルはその場で崩れ落ちた
.
悔しい。
痛い。
苦しい。
俺はッ
俺は弱いッ
『強くなって帰ってこい』
心臓が動く度ドクドクと溢れる血
人間の姿だったパルの体はゆっくりと狼の姿に戻っていく
それは大量の出血を伴うもの。
パルの体の下には血溜まりが広がっていく
「…。」
笑ってた
あいつ、楽しんでるんだ…
クソッもう少し足が速ければ
もう少し…もう少し
もう少し俺が強ければっ
パルの目から涙が流れると同時に
ポツン…ポツン…
ザァー
降らなかったはずの雨がパルの上がった体温を励ますように下げていく
ビビ「今降っている雨は、昔のようにまた振ります。
悪夢は全て終わりましたから」
雨に励まされ痛む体を起こしていく
パルの目は、
憎しみと悔しさに染められていた。
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Moon(プロフ) - こんにちは(*ˊᵕˋ*)コメント失礼します🙇♀️とても、続きが気になるのでよろしくお願いします。m(_ _)m (2023年3月27日 23時) (
レス) @page30 id: b2ea47ad96 (このIDを非表示/違反報告)
jennie(プロフ) - この作品が好きすぎて何周もしてます🫢💗更新楽しみに待ってます！！！ (2022年8月28日 23時) (レス) @page27 id: 01dc2c0fb3 (このIDを非表示/違反報告)
名無し20605号(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しいです😭😭 (2022年7月27日 19時) (レス) @page26 id: fc8144090d (このIDを非表示/違反報告)
夜光（元星崎夜光）(プロフ) - 続き密かに待ってました!名前固定主はあまり好みではないのですがこの作品はスラスラと読めてしまいます!更新楽しみに待ってます! (2022年6月18日 23時) (レス) @page21 id: dfaecdcdaa (このIDを非表示/違反報告)
隆弘 - 再新たのしみにしてます (2022年5月16日 2時) (レス) @page20 id: 4c1fa166fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハルル x他1人 | 作成日時：2022年3月19日 21時
