婚約者。 ページ10
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橋｢驚かせてすみません。
……え〜っと、Aさんのお爺様とうちの会長……尚大さまのお爺様が、むかぁしに約束してたみたいで……｣
『え？』
｢だから、俺と井上さんのおじい様が勝手に決めたの……あと橋本さん、様はやめて｣
おじいちゃん、なんてことしてくれたの。
てかそんな話今まで聞いたこと無かったよ。
そもそもなんでお金持ちの人と仲良しになってるの。
……とりあえず断っとかなきゃ。
将来くらい好きにさせて欲しい。
『えっと、私…』
橋｢で、残念ながらですが、このお話、断れない…というかご両親に許可は頂いているので、｣
『…………は、』
いや、パパとママ。ふざけないで欲しい。
絶対ノリでOKしたんでしょ。このフッ軽親が。
この様子だとお兄ちゃん知らなそうだし。
橋｢……で、｣
『次はなんですか、』
橋｢あの〜ですね、会長が、…おふたりにお家を与えるから一緒に住んでね、と。｣
『え』
｢は、？｣
颯｢……ねぇ、いい加減にして｣
財閥の、婚約者。
断れないこの状況に加えて、同居の話まで。
当たり前だけど脳がそれに着いて来てくれなくて、
もうどうしたらいいかわかんない。
それぞれがそれぞれの思いで、
この不思議な空気をまとった部屋に無言の時が流れる。
橋｢…とりあえず今週末、迎えに行くので引越しの準備、しておいてください｣
『へ、』
何回考えても、整理できないこの状況。
とりあえず、って今のところは家に帰らされたけど。
いやそもそもとりあえずってなに。
颯太くん怒ったままだし
私は混乱したままだし。
スーツの人は落ち着いてるし
織山くんはよく分からないし。
私が彼と婚約してて、来週から同居するらしい。
それは分かったんだけど、
恐ろしい程に勝手に決められるものだから、
気持ちと思考がそれについていけなかった。
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作者名：祐 | 作成日時：2022年9月12日 2時
