1人の有精卵5（僕のヒーローアカデミア） (ページ7)

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バコッ

鍛えられた男の人の拳が、ストレートに私の右頬を殴った

前を向いていた顔が左を向き、右頬がヒリヒリと痛みをうったえる

「な、なんか言ったらどうだ」

殴った男の人は

何故か冷や汗を流しながら怯えるようにそう言った

『…あーしゃべってよかったんですか？
さっきあなた、黙れって言ってたんですが
まあいいか。
えっとですね…

全員その場に屈んで頭下げてもらえます？』

「はあ？」

"バネ"で周りにいる人達の頭より高く跳躍し

呆然と立ち尽くしたままの人たちに半ば呆れながらもその人達の上に"カベ"をはる

「ｷﾞｬﾂ」

そして何処からか現れた囚人服姿のガッツリした体型の男を思いっきり蹴り飛ばした

囚人服を着た男はそのまま瓦礫の山へと突っ込み

顔だけ出した状態で気を失った

「…」

その囚人服の男に襲われそうになった女性が血の気の引いたような顔をしてその場にヘタレ込む

『…あーすみません、
まだ途中でしたね。さあ続きをどうぞ。
スッキリするまで殴ってください』

"カベ"をといて地上へゆっくりと足をつけており、

さっきまで途中だった交渉を続けるため男性に声をかける

「……も、もういい！」

『…そうですか』

他の人達もその人と同様なようで、

大人しく"カベ"の道を通って雄英高校へと向かってくれた。

「…ｩ」

あ、この囚人服の男どうしよう…

…メンドいから警察あたりにでもまかせよ。ん。

意識が朦朧としている囚人服の男を"ハコ"の中に捕らえてから

私は、"バネ"で空高く跳躍しその場を去った。

あとどれくらい残ってるのかな…

いのちしらずな人たちは…

その後も未だに避難していない人達を何度も集めて交渉して誘導した

気づけばもう外は真っ暗になっていた。

『あと一つくらいやって帰ろ』

"バネ"を使い傾くビルの上に飛び乗り

そこから屋根伝いに走りながら移動していく

「誰かーー！」

遠くから若い男性らしき声、が聞こえた

"バネ"の上で力を込め一気にその声がした方へ飛び出す

更にもう一躍と空中で準備をしていると、

突然目の前が視界一杯に青色に覆われた

『！』

「つかまえた！」

聞き覚えのある声がしたと思ったらまたたくまに、

更に暗い空間に捉えられた

Mt.レディさんの大きな両手の中に。

『…』

すると、上の手が開きMt.レディさんと目があう

「随分とボロボロじゃない。
レンカクちゃん、A組の皆心配してるわよ。
一緒に帰りましょ」

『…いえ、私はもう雄英には戻りません』