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9日目 ページ9

パタン。

そんな音を立て、部屋の扉が閉まる。

『…緊張した〜』
「ふは、お前のあんな真剣な顔初めて見た」

くすくすと笑いながらそう言ってくる悟。

口元を手で隠して笑っているその様子から、育ちの良さが伝わってくる。

『父様だけなら緊張しないけどさ、ゴジョウ家のご当主様もいたら緊張するよ〜…』

「?」
「クソ親父には前に家に来た時にも会ってるだろ?」

『そうだけどさ…』
『てかクソ親父なんて言ってるところ聞かれたら怒られるよ?』

「あぁ?お前の前でしか言わないし、別にいいだろ、んなもん」
「お前が直せって言うなら直すけど…」

俺の前でだけ。悟はそう言った。
そんなに深い意味はないと分かっていながらも、そう言って貰えたことに嬉しさを覚え、少し笑ってしまった。

『ふふ』

「…何笑ってんだよ」

『んーん?なんでもないよ。』
『ただ、俺の前でしか言わないって言ってくれて、嬉しくて』

普段はゴジョウ家の次期当主として振る舞う悟が、俺の前では少し口が悪くなる…。

なんだか距離が縮まった気がして、とても嬉しかった。

『悟は悟のままでいてよ。』
『ちょっと口が悪いのも含め、俺は悟が好きなんだからさ』

「…そーかよ」

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作者名:楓さん x他1人 | 作成日時:2021年3月2日 16時

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