49日目 ページ49
『危なかったね…硝子ちゃん、怪我はない?』
「1ミリも危なさなんて感じられなかったけど…まぁ、無事かな」
急に襲いかかってきた呪霊はおそらく2級。
報告書に上がっていた呪霊でほぼ間違いないだろう。
残念ながら、俺たちの捜索エリアには生存者はいなかった。
簡易的な報告書を書き、夜蛾先生に送る。
「にしても、思いの外早く終わったな。」
『そうだね、残ってた呪霊が2級で助かった。』
「あんたなら1級でも倒せそうだけど」
『はは、それは買い被りすぎだよ。』
俺がそう言うと、硝子ちゃんは目を細めながらこう言ってきた。
「そんなことないと思うけど…まぁいいや。」
「ねぇ、暇つぶしがてら聞きたいんだけど…あんた、なんで五条にあんな依存されてんの?」
硝子ちゃんの言う通り、なぜか俺は悟に依存されていた。
きっと悟は1人でも生きていける。
隣に並ぶとしても、それは同等か、それ以上の才能がある人間だ。
けれど悟はずっと俺の隣にいた。
俺が始めたという理由で特に興味もない習い事を始めてみたり、俺と過ごす時間が無くなるから。と、縁談の話も蹴ったらしい。
『何故?』と尋ねると悟は「Aと一緒にいる方が楽しいに決まってるから。」と言った。
一緒が当たり前だったし、なにより悟が大切だったので不快に思うことは無かった。
ーーーーー
珍しく悟が体調を崩した日があった。
その日、何故か俺が呼ばれた。
熱が高く、不安だったのだろう。
熱に苦しむ悟に何とか薬を飲ませ、寝かしつけた。
『おやすみ、悟。』
額に乗せるタオルを濡らすための冷水を貰おうと立った時だった。
「…いかないで」
『…!』
虚ろな目をした悟が、俺の服の裾を弱々しく掴んだのだ。
『起きてたの?気分は…』
悟が起きていたことに少しびっくりし、慌ててそう問いかける。
「おいて、いかないで…俺をひとりにしないで…!」
虚ろな目をした悟の頬を大粒の涙が伝う。
そんな悟を抱き寄せながら頭をくしゃりと撫でる。
『馬鹿だなぁ…俺が1度でも悟をおいて何処かに行った試しがあった?』
『俺は、悟の隣にいるよ。』
悟が俺をいらなくなるまで、ずっと…。
ーーーーー
『うーん、特に何かしたって訳ではないと思うんだけどね…』
「なんかなきゃあんなに依存しないだろ…お前も気にならなかったのか?」
『小さい頃からあんな感じだったから、特には気にならなかったかな。』
「…お前、厄介なやつに好かれたな。」
『…俺も悟のこと好きだし、そんなんでもないよ。』
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作者名:楓さん x他1人 | 作成日時:2021年3月2日 16時