36日目 ページ36
(会話文多めな気がする)
「見て、星が降ってる」
楓のその一言を聞き、空を見上げる。
「おぉ、すっげ…」
『本当だ…』
星が降った日。
それはまるで、夢のように美しい眺めだった。
星の降る夜、俺たち3人は大人たちに内緒で屋敷を抜け出した。
星を眺めながらたわいもない話をして、ちょっと遊んでみたり…。
この先、俺たち3人はこの日を忘れることが出来ないだろう。
それほど、美しい眺めだった。
しばらく3人で星を眺めていたが、唐突に楓がこんなことを言い出した。
「ねぇ、流れ星が光っている間に願い事を言うことができたら、その願いが叶うって話知ってる？」
『知ってるけど、それって迷信じゃ…』
星に願うだけで叶うのなら俺だって…。
「まぁ、迷信でもなんでもいいんじゃねぇの？やるだけやってみようぜ。」
「やるのはいいけど、光っている間に願い事を言わなきゃいけないって言うのが難しそうね…」
「こんだけ星が降ってんだ、そんなん余裕だろ。」
『流石に暴論すぎない…？』
「坊ちゃんの意見も一理あるわね…」
『楓？？？？』
「あーもう、つべこべ言わずにやるわよ！」
なんて言いながら俺の手を掴む。
『手繋ぐ必要あるの？』
「当たり前よ。こうした方が叶いやすいんですって。(適当)」
『ふーん…じゃあはい、悟。』
頭の上にハテナを浮かべている悟に近づき、手を差し出す。
『悟も繋ぐでしょ？』
『この方が叶うらしいからさ。』
「あぁ…」
「全員繋いだわね？じゃあ、目を閉じて。ちゃんと祈るのよ？？」
その言葉を合図に、全員目を瞑り静かに祈る。
【縛っているもの全てが無くなって、2人が幸せな未来を過ごせますように。】
それが俺の願いだった。
たとえその未来に俺が居なくとも、2人には幸せになって欲しい。
特に悟には…ね。
まだ15年しか生きてないけど、その15年の間に一生分くらい苦労したんだ。
幸せな未来を願うくらい許されるだろう…。
『…2人とも何願ったの？』
「そういうのって言ってもいいもんなのか？」
「さぁ？そういうAは何を願ったのよ？」
『俺は、【悟と楓が幸せになれますように】って祈ったかな〜。』
「はぁ？何言ってんだよ、このお転婆はともかく、”幸せになるならAも一緒に。”だろうが。」
「そうよそうよ。このバカ坊ちゃんは置いておいて、Aが居ないのに幸せとかありえないからね？？？」
『えぇ…？』
「…とりあえず、もう一度願い直しましょう？」
「今度は3人で幸せになれるように…だな」
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作者名：楓さん x他1人 | 作成日時：2021年3月2日 16時
