26日目 ページ26
ガチャっと大きな音を立てて開く扉。
『悟』
扉の開く音と呼びかける声で俺が来たことに気づいたのか、悟は目元に涙を浮かべながらこちらを見た。
『また泣いてるの?目は擦っちゃだめだって言ったでしょう?』
優しく、刺激しないようにゆっくりと近づく。
溢れた涙が悟の頬を伝いバルコニーの床に落ちる。
悟の前に立ち、ハンカチでその涙を拭ってやろうと手を伸ばした所で悟が叫んだ。
「こっち来んな…!」
その一言で俺はピタッととまる。
「中途半端に優しくすんな、勘違いしそうになる…」
ぽろぽろと涙を流しながらそう言う悟。
勘違い、その言葉の意味が分からないほど、俺は鈍感じゃない。
きっと、悟は俺の事を好きでいてくれているのだ。
昔も、今も。
悟から時々向けられる異常な感情には気づいていたし、俺自身、そんな悟を見て可愛いと思っていたから特に触れてこなかった。
未だに涙を流し続ける悟に優しく笑いかけ、こう言う。
『別に、勘違いしてもいいよ』
「な、に言って…」
『俺は、悟が思っている以上に悟の事が好きだし、大切に思ってる。だから、そんな事言わないでよ…』
『ね、仲直り、しよう?それとも俺とはもう話したくない?』
そんなふうにちょっと意地悪しながら腕を広げると、悟はすぐに俺の胸に飛び込んできた。
「話したいに決まってる…!」
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作者名:楓さん x他1人 | 作成日時:2021年3月2日 16時