19日目 ページ19
「A…A」
久しぶりに会った悟は少し様子がおかしい気がした。
一見、いつもと変わらないようにも見えるが、今日はやたらとくっついてくるし、離れようとしない。
少しでも離れようとすると、今にでも泣き出しそうな顔をしながら俺に抱きついてくる。
『悟…?』
『どうしたの?大丈夫だよ。』
「っ…おいていかないで、1人にしないで…」
何かあったのは一目瞭然だった。
こんな風になるまで精神的に追い詰めて…また、ご当主様絡みなのだろうか。
ご当主様に抱くこの殺意は、どうやら悟が関わっている時限定で湧き上がってくるもののようだった。
『悟、大丈夫。大丈夫だからね。』
『俺は悟をおいて行かないし、ずっと傍に居るからね。』
未だに泣きじゃくる悟に言い聞かせるように背中をぽんぽんと叩く。
背中を叩いていた手を頭に移し、今度は頭を撫でてやる。
頭を撫でる度に、悟の柔らかく、サラサラとした髪が指の隙間を通って、なんだか気持ちがいい。
しばらくの間、頭を撫でてやると落ち着いてきたのか、泣き声が小さくなっていった。
そんな悟から、次に聞こえてきたのは寝息。
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだった。
はじめて家に泊まった時と同じように、悟を抱き抱え、布団に運ぶ。
何があったのかは分からない。
でも、悟がこんなになるまで泣くなんて、よっぽど辛いことがあったのだろう…。
起きたら、何があったか聞いてみよう。
もちろん強制はしないけど、話してみたら心が軽くなることもあるから…。
悟の傍にいてあげなきゃ…。
そう思いながら、泣いたせいで少し赤みを帯びた目元に軽く口付けをした。
589人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:楓さん x他1人 | 作成日時:2021年3月2日 16時